Game Design Current @ ジェリアスカ.com

ロックマン9 アレンジ: 山田一法, 川上領 & 海田明里

November 6th, 2008 Posted in ゲーム

r9arrange_banner.jpg

GameSetWatch インタビュー

日本での『ロックマン9 野望の復活』発売を受けて、株式会社インティ・クリエイツのサウンドチームがアレンジアルバムの制作に取りかかった。ファミコンスタイルなサウンドの原曲を個性豊かにアレンジャー達がリミックス。先月に『ロックマン9オリジナルサウンドトラック』についてのインタビューでお話しいただいた山田一法プロデューサーを筆頭にカプコンの8ビットゲーム時代の作曲家達を始めとする数々の音楽家が制作に携わった。今回は山田プロデューサー、そして同じくインティ・クリエイツより作曲家の川上領、そして『ブレス オブ ファイアIII』や『ルミナスアーク』でもおなじみの作曲家、アレンジャーの海田明里、この豪華ゲスト3名を迎え新作アレンジアルバムについてのお話を伺った。

>>  ロックマン9 アレンジ: 山田一法, 川上領 & 海田明里

インタビュー: ジェリアスカ
翻訳:佐藤  領二郎

rockman9_arrange_kawakami.jpg

Ryo Kawakami: はじめまして、川上領です。去年の11月にインティ・クリエイツに入社して、いくつかゲームの音楽を作ってきました。入社する前から『ロックマンゼクス』、あと『ロックマンゼクスアドベント』の曲を作っていまして、そして今回『ロックマン9』の音楽を担当することになりました。

GameSetWatch: 今までにはどのような曲を担当されましたか?

Kawakami: 何曲か作ったんですけど、一番有名な曲はプロメテ・パンドラ戦のトラップファクトリー、あとトラップファンタズムだと思います。『ロックマン9』ではオープニング、あとタイトル、マグママン、プラグマン、あとはワイリーステージ1、スペシャルステージといったあたりを作っています。

GSW: 全てご自分で作曲をされたわけですよね?

Kawakami: はい、基本的に全部自分で作りました。ただ、いろいろアドバイスはもらいつつですけど。

GSW: 今回、オリジナル、アレンジの曲作りにはどのように取り組みましたか?

Kawakami: ワイリーステージ1に関してはステージの背景を意識しました。雷が鳴るとか日が暮れていく、夕焼け、夜、そういうイメージがありつつ、あとはロックマン2のワイリーステージ1の感じもちょっと混ぜたらああいう曲に仕上がってます。プラグマンのステージではエレクトリックな感じを出したいな、と思ってまして、2のクイックマンで使っていたギィッギィっていう高周波ノイズを使ったらもしかしたら電気のイメージが出るんじゃないかと思って混ぜてみたら結構うまく出来て今の形が出来たっていう感じですね。

アレンジアルバムでは3曲程アレンジをやりまして、プラグマンの曲、あとオープニングとか
エンディングのピアノアレンジです。プラグマンはあれは何アレンジですかね(笑 んーエレクトリッ、、、プログレハードというと何か怖いんで、、、3拍子の曲と言っておきます。 全部たくさんのキーボードが入ってます。あとはドラムが(後藤マスヒロさんによる)生なんです。今回は。

rockman9_arrange_kaida.jpg

Akari Kaida: 海田明里です。私は1994年にカプコンに入って、それから色々参加させて頂きましたけど、ロックマンに関しては『ロックマンアンドフォルテ』、『ロックマンエグゼ』シリーズの1と5を担当させて頂きました。2005年にカプコンを退職しまして、フリーになって今回はご縁がありまして『ロックマン9』のアレンジトラックに参加させていただきました。

GSW: Akari Grovesというお名前は外国の名字ですよね?

Kaida: はい、私の主人がオーストラリア人なのでそういうウェスタンな名前になってしまいました。

GSW: ロックマン&フォルテは多くの音楽家が参加されていますが、海田さんはどちらを担当されました?

Kaida: たしか、コールドマンとかグランドマン、、、テングマンとか。他もありましたけどうろ覚えですよ。

GSW:  今回のアレンジアルバムのトラックはどのようにアレンジされましたか?

Kaida: 山田さんからおしゃれにしてくれって言われましたので、ちょっとヨーロピアンスタイルかなっていうものを目指したんですけど、どうでしょうか。 すごく安易な考えでやっぱりヨーロピアン、フレンチって言ったらスキャットしかないじゃん!みたいな状態でかなり安易に考えてそうなってしまいましたが、、楽器は他のアレンジが割とエレクトロニックな楽器があるのに比べてどちらかというと割とアコースティックよりかなとは思いますね。アコギとかも入ってますし。

rockman9_arrange_yamada.jpg

Ippo Yamada: インティ・クリエイツのサウンドプロデューサー、ディレクターをやってます、山田一法です。『ロックマン9』はサウンドプロデューサーという立場でやってまして、データの管理などを中心にやっています。今回ちょっとだけ作曲もしたいなということで音楽も二曲だけ作りました。曲はトルネードマンの曲とスタッフロールの曲を作りました。本当はもっと作らなきゃいけなかったんだけど、みんなに任せてプロデュースの方をやってました。あとは今回『ロックマン9』のゲームと一緒にサウンドトラックのCDをオリジナル版とアレンジ版と二枚作ってそちらのプロデュースもやりました。

GSW: トルネードマンの曲はどのように作曲されましたか?

Yamada: トルネードマンということで空のステージなんだろうなって、まず最初に考えましたね。トルネードですから、やっぱり雷だとか風だとかスピード感溢れる様なというのは念頭に置きつつ、僕の個人的なロックマンのイメージで泣きメロというか、哀愁を感じる様なメロディが入ってて。その独特なメロディ、ちょっと日本的なものを混ぜ合わせた感じですね。で、リズムパターンはロックマン1、2あたりを参考にはしてるんですけれども、ベースラインはロックマン8とか新しい作品も気にしつつ作りましたね。

GSW:  株式会社インティクリエイツについてお話ください。

Yamada:  最初は11人で始めて、プログラマー、キャラ、企画をみんなでやってた感じで、会社というよりはチームでしたね。まぁ若かったっていう事もあるんですけど、本当に寝食忘れて24時間ゲーム作りに没頭したっていう感じで、カプコンとかでもやった経験はあるんですけど、やっぱり初めていちから全部作るってことになると、色々学びながらというところもあったので、最初の頃はクオリティの部分では少し納得出来るところまでは出来なかったですね。ただ、詰め込む内容の中身としては楽しんでやっていましたね。

rockman9_arrange_disc.jpg

GSW:  今回のアレンジアルバムはどのような仕上がりになっていますか?

Yamada:  今までのインティ・クリエイツのアレンジアルバムは先ほど言っていた形とは違ってオリジナルのアルバムが出てない状態で出ているので、ユーザーとしてはオリジナルの部分も聞きたいだろうなという配慮がありまして、オリジナルに近いアレンジの生楽器なりシンセサイザーなりで弾いたものになってます。今回は先ほども言ったようにオリジナルがあるのでそれとは違うアレンジのアルバムに作ってます。だから出来れば聴き比べて欲しいなって思っています。 トルネードマンのアレンジを内山君っていう『ロックマン8』をやってくれている後輩に頼みまして、彼にも結構無茶を言ったんですけど。 トルネードマンのイメージやメロディラインを崩さずに全然違ったダンスにしてくれって頼みました。 そしたらやってくれました彼は。

Kaida:  あれはめちゃくちゃかっこ良かった。

Yamada:  かっこ良かったでしょう。ビックリしたよね。あ、こんな手があったんだ!って言う。 新しい感じで結構新鮮でした。

GSW: 他にはどのアレンジャーがプロジェクトに携わりましたか?

Yamada: 『ロックマン1』、『2』の松前真奈美さん(CHANCHACORIN MANAMI)に下田君のワイリーステージ2をやっていただいて、あとはBUNBUNさんですね。『ロックマン3』の。BUN BUNさんに、川上君のスペシャルステージをやってもらいました。『ブレス オブ ファイア』風のオケ風っていうのかな。オーケストラのかなり気合い入った曲になってます。あとは、一緒に『バイオハザード』をやった『ロックマン7』の友澤君、彼にワイリーマシーンの曲を担当してもらっています。

あと『ロックマンゼロ』から梅垣ルナさんにスプラッシュウーマンの曲をヒーリングな感じでアレンジをしてもらってます。あとロックマンに関係ないんですけど外部のミュージシャンにも参加してもらっていて、ギタリストの堀沢俊樹さんにワイリーステージ1をジェフ・ベックの様な超バラードギターでかなりドラマティックに演奏してもらったりとか、そういう感じで色んなアーティストに色んな音楽で参加してもらっています。

rock_magma_tn.jpg

GSW: ゲームに初めて興味を持ったのはいつでしょうか?

Kaida:  ゲームのタイトルとかは思い出せないですけど、多分小学校、10歳11歳ぐらいからはやってますね、きっと。

Yamada:  ファミコン?

Kaida: ファミコンですね。私はファミコン世代です。

Yamada: RPGとかもしてたの?

Kaida: やりましたね。

Yamada: ドラクエとか?

Kaida: やりましたよ。でもアクションの方が好きでしたね。でも実はロックマンはやってなかったんですよ。

Yamada: そうなんだ。

Kaida: 最初にやったのは、誰でもそうかもしれないですけど、スーパーマリオですよね。誰でもやってますよね。あの辺から始まって、、、。

GSW: ゲーム音楽作曲家を志すことになったいきさつというのは?

Kaida: それはですね、ゲーム音楽を作りたかったってあんまり考えた事が無かったんですよ実は。ゲームが、普通にプレイしてたというのと、パソコンを 操作して何かするのが好きだったのと、あとは音楽の学校に行ってたので全部合わせたらこの仕事になったんですよね。合理的な感じです。

Yamada:  でもそういう感じが多いよね。音楽が漠然と作りたいっていうのはあったかもしれないけど、ゲーム音楽って自分で固執してるわけでは無いんだよね。

Kaida: あんまり無いですね。固執したくもないですしね。

Yamada: ただゲーム音楽は楽しいなぁとは思う。ゲームってアクション、リアクションするとこに合わせて音楽を作るってところがあるから、そういう演出的な部分も含めて音楽を作れるっていうのは、劇伴とかも僕は好きなのかなぁと思ったりするね。

Kaida: そうだと思いますね。何か題材があって、そこにこういうシーンとかいう感じで付けていくので、私も劇半ものも好きですね。

当時ゲーム音楽作曲家に必要だったスキル

Yamada: あともう一つはデータに強い事だよね。当時は今みたいにマックやウィンドウズで作るっていうんじゃなくて、例えばソニーのコンピュータでV.I.使ってデータ作ってたりしてたから、プログラミングも多少知ってないと太刀打ち出来ないのが現状だったんだけど、データを色々コンパイルしたりデコードしたりしながらデータの中身を見て「こういう風になってるんだ!」みたいなところは多少強くないとゲーム音楽は作りづらかったかもしれないよね。

Kaida: そうですね。あとは容量が少なかったので、いかにそこに詰め込むかって言う感じですよね。

Yamada: コードがあったら、これを1音か2音で表現するっていうのは、、試験に出た?

Kaida: それは出ませんでした。

Yamada: 僕は聞かれたよ。このコードだったら何を使う?みたいな。

今回のアルバム作り、そして今後

Yamada: やっぱり今回作るにあたって、昔のを紐解く訳ですよ。音楽も聴くしデータとしても見るんだけど、僕と、川上君とか下田君とか若い人たちと捉え方が違うんだよね。僕なんかは、懐かしいわけですよ。あ、こんなデータの作り方してたなって、ファミコンって1音1音ピッチを調整しないと鳴らないじゃない?そんな事すら忘れてるわけです。

Kaida:  私も忘れてました。

Kawakami:  録ってみたらそれぞれピッチが違ったりとかですね。

Yamada: 今やってる方法は当時と違うじゃない?サンプラーに音突っ込んで鳴らしてるからドを鳴らしたらきっちりドが鳴るわけですよ。でも昔のデータをそのまま入れたら微妙に全部またピッチがずれてるわけです。最初はそのずれてるのが正解だと思ってて、このズレが昔風なんだよねぇ~とか言うふうに最初は下田君も言ってたんだけど、でもなんか違うんだよなぁって思ったら、「あー思い出した!」ってなって、そういえば1音1音全部ピッチ直してた!っていう感じです。堀山君とかイライラしながら直してたっていうのを思い出したよね。

Kawakami: 山田さんが忘れてたって所も面白いですけどね。

Yamada:  いつも昔の事忘れるタイプじゃん。昔のはチップで直接鳴らしてたから、きっちりドレミが鳴るっていう環境じゃないんだよね。ピッチで鳴らしてるのは調整して鳴らすって言うのが当たり前の時代だったから昔は。だからそれこそ高周波ノイズみたいにある程度キーが高くなってくるとドレミも全然キープ出来ないじゃないあの頃は。でも逆にキープ出来ない音を使って色々Effectiveな音楽を作るのも実はファミコンの味だったりするわけです。

そのファミコンの味は今回出せなかったのはちょっと心残りと言えば心残りだし、もしもまた機会があったらそういうところを攻めてみても面白いかなと思います。今回はあくまでファミコンっぽい音を使って今の音楽を表現してみたっていうぐらいなんだよね。そこらへんはまだまだファミコンらしい音楽っていうのはまだいじりがいがあるなと思ってますね。今回二曲しか作れなかったから次回はもうちょっと時間と暇を僕にください(笑 そしたらもうちょっと曲作るので。

Kawakami:  今後ファミコンっぽい曲を作るにあたっては仕様で効果音が消えたりするときに消えてもいいように曲作りをするというのがあったと思うんですよね。例えば、1音か2音ぐらい消えちゃっても曲としてガクって止まったりしないようなすごい工夫があったんじゃないかなって思うんですけど。

Yamada: なんか知らないけど最近になってちらっとドラクエとかボンバーマンのCDをなんとなく引っ張りだして聴いたりしたんだけど、ボンバーマンって1音で音楽やってるんだ!って思ってびっくりした。

Kawakami:  そういうことですよね。複雑なテクを使いすぎてゲームで実際にやったときにちょっと失敗したなぁと思ったりすることもあったりしますよね。

Yamada: 1音2音消えたところで太いメロディラインはきっちりあって、そこだけで十分っていうそういう音楽を作んないとね。

Kawakami: そうですね。今回は敢えて効果音が鳴ったとき曲が消える仕様にしたんですけど、本来そこで消えても気にならないようにするのが本来やるべき事だったんだろうなと思うので、また何か機会があったら今度はそういうところに気をつけて作りたいなと思います。

Yamada: 今後もっとチップチューンよりなことも出来たらいいよね。

rockman9_arrange_group.jpg

From left to right: Inti Creates designer Yukimasa Tamura, musicians Ryo Kawakami, Akari Kaida & Ippo Yamada. Images courtesy of Capcom and Inti Creates. Photos by Jeriaska.

Music samples from Rockman 9 Arrange Soundtrack can be heard at the Inti Creates Official Website. The album can be purchased through online retailers including Amazon.co.jp and Play Asia. Images courtesy of Capcom, (c)CAPCOM CO.,LTD. 2008 ALL RIGHTS RESERVED.

  1. 1 Trackback(s)

  2. Oct 28, 2009: 海田明里、川上領、礒谷浩生インタビュー『チップチューンド・ロックマン』 - LITTLE DESK

Post a Comment