Game Design Current @ ジェリアスカ.com

天誅4: 朝倉紀行

February 14th, 2009 Posted in ゲーム

tenchu4_banner.jpg

GameSetWatch インタビュー

1998年発売のプレイステーション用タイトル「天誅」。主人公の「力丸」と「彩女」を使い敵地に忍び込むステルス型アクションゲームというジャンルに分類されるこのゲームは、多くのアクションを駆使し自らの身を隠し敵を一撃で倒しながら進めていくゲームである。この度発売のシリーズ四作目の「天誅4」ではオリジナルのステルスアクションを取り入れ、海外でも「Tenchu: Shadow Assassins」というタイトルで発売。初代の「天誅」といえば、何といってもその雰囲気を巧みに表現しているゲーム中のBGMを思い起こす人も少なくはないが、今回の四作目も過去の「天誅」シリーズの音楽を担当した朝倉紀行氏が再び担当している。ロック音楽で言うところのプログレの要素をアジアの伝統音楽に取り入れる形で新しいアプローチ。サウンドスタジオ「Mega-Alpha」の代表を務める朝倉氏は、傍ら日々の音楽制作にも余念がない。今回はこの「天誅4」オリジナルサウンドトラックの作曲家、朝倉紀行氏を訪ね、ゲーム開発、音楽制作について様々なお話を伺った。インタビューでは作曲家自身のこのゲームプロジェクトへの取り組みについて詳しくご覧頂きたい。

取材:ジェリアスカ

翻訳:佐藤領二郎

記事は「Game-OST」(ロシア語)と、さらに「Squaremusic」(フランス語)にて公開されています。

tenchu_asakura.jpg
Composer Noriyuki Asakura

GameSetWatch:   PS 用ソフトの初代天誅の音楽は英語圏のユーザーの間では大変な人気でした。特に日本の伝統楽器のリズム感がゲームに大変マッチして気持ちがいいです。 日本の封建社会を舞台にしたゲームとそれにマッチする近代の音楽をうまくバランスさせるという事は、一つの課題だったのではと思うのですが、いかがでしょうか?またどうやってそのバランスをうまく見つけましたか?

朝倉紀行:  日本の過去の歴史をテーマにした作品の音楽の全体的な傾向からまず変えたいと思ったんです。日本の音楽だといわゆる雅楽のようなものがベースにあったり環境音楽系だったりアンビエントな音楽が多いですよね。そういうのは割と多くあるので、新しいアジア音楽の切り口みたいなのを探っていました。それで日本だけに限らず中国やタイ、後は西アジアのトルコからもイスラム音階を使ったりと影響を受けています。それに西洋のロックやトランスの影響を取り混ぜるという誰もやっていない事に挑戦したかったんです。ロックでは70年代にプログレのロックが流行ったけど、僕はアジアのプログレッシブ音楽な感じをやりたいと思ったんだよね。

GSW: 初代、天誅の制作チームに参加するのが決まったのはどういういきさつでしたか?

朝倉: まず天誅1のプロデューサー (山本正美) が音楽家をずっと探していて、そこで私が紹介されたときにシナリオとかの説明を聞いた後で過去のストック曲を、こういうのが合うのかな?という意味で聴かせたら、その曲をプロデューサーがすごく気に入って「この曲をください」って言われたんです。この曲はもともと他のプロジェクト用に作った曲なんだけど、話をつけて天誅のために使うことになりました。それがオープニング曲の始まりで、残りもこのイメージで作ってくださいといわれました。だから、その一曲をプロ デューサーが気に入ってくれて、それがきっかけで僕が音楽を任されたというのは運命的だったのかもしれないね。

tenchu_ost1.jpg

GSW: 音楽家としてのご経験がある中で初めてゲーム音楽に携わるという事で何か朝倉さんにとって新しかった事、また今までの経験が大変役に立った事はどんなことでしたか?

朝倉: もともとゲーム音楽は初代プレイステーションのハードと同時発売のゲーム「クライムクラッカーズ」に関わったんですけど、そのときSONYはものすごく勢いがあって、どんなにお金がかかってもいいから映画音楽のようなものを作って欲しいといわれたのが始まりです。そういう意味では私は恵まれていたと思います。音楽のクオリティはなんだかんだで予算に関わってくるので、予算によっては色々と実験的な事も出来るしハイクオリティな作品が出来るわけですから。生の楽器にこだわっている僕としてはとてもありがたかったです。

クライムクラッカーズの頃はまだ僕もアジアの音楽の魅力に気付いてなかったんだけど、そのあとちょうどアジアの音楽に目覚めた頃に「天誅」と「るろうに剣心」に出会えたという感じです。

GSW: 天誅のオープニングの歌の歌詞はどこの言葉ですか?

朝倉: あれは北アフリカのハウサ語という言葉なんですけど、始めにゲームの話を聴いたときにテーマというか大地の広さでの孤独感や乾いた砂漠でお祈りをしているというようなイメージがあって、それで英語で歌詞を書く案もあったんだけど、英語だとイメージが伝わりにくいんですよね。じゃ日本語で、という意見もあったんだけど、どうしても日本人として日々生活しててそういう生活感が言葉に出てしまうからそれも却下になりました。始めのイメージの条件を一番満たしている言葉をいろいろ探した結果ハウサ語がいいなという事が決まったんです。

GSW: お話では音楽グループを持っていらっしゃるとか。

朝倉: アドゥーアというユニット名でメンバーは私、ギタリスト、ベーシストとボーカリストで出していますが、ボーカルは村瀬由衣が歌っています。

GSW: 天誅シリーズは例えば、夜に敵陣に忍び込むような時も、忍者アクションでの「動」と「静」が大変特徴的な要素だと思うのですが、その特徴に適した音楽を見つけるプロセスをお話ください。

朝倉: それも今言ったプログレッシブに関係するけど、70年代のプログレロックは転調を繰り返しやったりして雰囲気を大きく変えたりしているから、そういうのをアジアンなテイストで同じように自然に展開していく音楽というのを作ろうと思いました。静から動への動きもその中での転調の仕方にしても一気に景色を変えるように作っています。それでも自然に曲として聴けるようにするところがアジアのプログレッシブという音楽の重要なところだと思います。

tenchu_four.jpg

GSW: 旅行をよくされると伺っていますが、やはり行く場所場所で色々と新しいアイディアが生まれてきますか?

朝倉: アイディアを得たり、音楽的な影響を受けるのはトルコやマレーシアに行ったりするときだね。エンターテイメントから受けるエネルギーは例えばニューヨークとかLAに行った時にすごく感じました。行く場所によって得るものが違うからバランスが取れていると思います。だから旅はよく1人でしています。

GSW: キャラクターの力丸は名実ともに忍者という感じですが、ご自身の音楽的な表現では、このキャラはどのような性格や性質をどうやって表現してると思いますか?

朝倉: 男っぽいというか、天誅3の時もあるシーンでは勝ち目の無い程に敵キャラが主人公を取り囲んでいるような場面もあったりしますが、曲としてオープニング曲も「運命(さだめ)」と付けたんだけど、そんな勝ち目が無くても戦わなくちゃいけないという運命を背負った人物というのが僕のイメージですね。

GSW: 天誅4はちまたでは、初代のオリジナルの頃の魂を取り戻したようなゲームになるのではないか、というように噂をされておりました。 このように天誅4のなかでまるでPS版の初代天誅を思わせるような要素はなんでしょうか?また、そこからどう進化し新しい領域に踏み込んでいると思いますか?

朝倉: 監督にも言われたんだけど、シリーズ今までの流れで天誅1をイメージしながら全く新しいものをという、一見矛盾だらけの注文をもらったんです(笑 そういう意味ではかなり苦労しました。僕の中では楽器を新しくしたり、ドラムを使ってみたりと、さらに少しクラシック音楽の要素も取り入れていると思います。オーダー自体が今までの天誅の流れを汲みつつ全く新しいものをというちょっと分かりづらい内容だったので。 大変だった。

GSW: 近々発売のオリジナルサウンドトラックの監督はされているのですか?

朝倉: もちろん。全体の担当をしています。

tenchu_ost4.jpg

GSW: 生楽器のトラックでご使用になった楽器は、どんなものがありますか?

朝倉: 今回は普段より弦一徹(GENITTETSU)のバイオリンの出番が多かったですね。あとは天誅シリーズには欠かせない天野清継のギター、新しいのは篠笛や三味線に力を入れました。今まではサンプルを使用していたんだけど、今回は演奏家にお願いして新たに録音しました。

GSW: レコーディングの際の演奏家はどんな方々でしょうか?お名前を伺ってもよろしいですか?

朝倉: 福原百貴が笛で三味線は小山流三代目、小山豊です。ドラムは僕がバンドでやっていた時からの付き合いのドラマーで、考えもすぐ分かってくれます。 最近の若い作曲家の人達はバンドの経験が無かったりするのが少し心配ですね。僕はバンド経験は非常に大事だと思ってます。コミュニケーション能力とかメンタリティも含めて、人をまとめたり音楽をまとめたりする力って周りの人間から影響されながら出来ていくから、1つのものを複数で作っていくという経験は非常に大切だと思います。1人だとどうしても独りよがりになってしまうので広がりも無くなりますよね。

GSW: PSPでの発売が近づいておりますが、ユーザーに音楽の聴きどころについてお話ください。

朝倉: オープニングでもあるように今までと違うようなクラシカルな音楽要素を取り入れたことです。今までと同じように民族音楽的な部分も脈々とあるんだけど、そこにクラシカルな要素を混ぜているところですね。WiiとPSPで基本的には同じなんだけど、PSP版は2曲増えていて、今日録音したようにドラムとかパーカッションが多くなっています。それで映画音楽に近づいた曲になっていると思います。

GSW: 天誅4の作曲全体を通して一番強調したかった事はなんでしょうか?

朝倉: 愛かな。テーマは。そういうとどこにでもあるような話だけど、今までの天誅シリーズで色々なテーマがあって、そのなかでも力丸の人々に対する愛情だったり僕自身が主人公に対する愛情もあるし、そういう意味で愛かな。

[The original soundtrack for Tenchu 4 can be imported from Amazon.co.jp. Images courtesy of Ubisoft. Photo by Jeriaska.]

  1. 3 Trackback(s)

  2. Feb 17, 2009: Top Gamer Blog » Archive » GameSetInterview: ‘Tenchu’s Assassins and the Fusion of Asian Musical Influences’
  3. Feb 18, 2009: GameZone» Blog Archive » GameSetInterview: ‘Tenchu’s Assassins and the Fusion of Asian Musical Influences’
  4. Jul 5, 2009: Game Design Current » Blog Archive » GOMIBAKO: Fujikado Taro & Tomoyuki Kato

Post a Comment