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gentle echo meeting: 桜井政博 / 須賀浩二 / 伊藤賢治

April 6th, 2009 Posted in ゲーム

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(c)2009 SQUARE ENIX CO.,LTD. All Rights Reserved.

GameSetWatch インタビュー

今年の2月21日に東京都千代田区にある内幸町ホールにて、あの「ロマンシング サガ」シリーズの音楽でも有名な作曲家の伊藤賢治氏によるトーク&ミニライブ「gentle echo meeting」が開催された。このイベントでは伊藤氏の手がけた数々の大作RPG音楽を中心として代表的な楽曲が生楽器用にアレンジされ、特別に招待された5名の演奏家たちによって見事な演奏が披露された。

今年は株式会社スクウェアエニックスの代表作「Sa・Ga 」シリーズの20周年記念ということもあり、現在はゲームボーイ用タイトル「Sa・Ga 2: 秘宝伝説」のニンテンドーDS用リメイクのために音楽のアレンジに多忙な伊藤氏。昔の作品からは「ファイナルファンタジー外伝 聖剣伝説」[GBA]、「ロマンシング サガ -ミンストレルソング-」[PS2] などでも過去からの音楽のアレンジがゲーム内に採用されているなど、伊藤氏の過去の自分の音楽に対する思いには何か特別なものがあるように感じられる。「gentle echo meeting」のライブでは前述の2作品とともにCuldcept SagaやPop’n Musicを始めとして、その他伊藤氏の音楽が多数演奏され大成功をおさめた。今回のインタビューでは伊藤氏にこの「gentle echo meeting」について、さらにご自身の音楽観についてお話を伺った。

さらに今回のイベントでは、伊藤氏はギターやピアノの演奏の合間に「大乱闘スマッシュブラザーズ」シリーズのディレクター桜井政博氏とトークを繰り広げ、観客を一層惹き付けた。桜井氏は「Press Start Symphony of Games」コンサートシリーズでの司会としてもよく知られているが、今回は特別にインタビューをお願いし、ゲームデザイナーとして、さらにコメンテーターとしてのお仕事についてお話いただいた。そして、今回は伊藤氏、桜井氏に続き「gentle echo meeting」の企画運営の中心的役割を果たした株式会社Harmonics Internationalより、代表の須賀浩二氏を迎えてこのイベントについて、そして広くゲーム音楽業界についての興味深いお話をしていただいた。ファンとのつながりを大切にする、という著名なクリエイターたちの熱い思いを形にしたこのイベント、その裏側の貴重なお話をお楽しみいただきたい。

取材:ジェリアスカ

翻訳:佐藤領二郎

記事は「Squaremusic」(フランス語)と、「Gamesource.it」(イタリア語)と、さらに「Game-OST」(ロシア語)にて公開されています。

GameSetWatch: 桜井さん、本日はお忙しい中インタビューへのご協力ありがとうございます。桜井さんはPress Startコンサートが始まって以来企画に携わってらっしゃいますが、こうやって日本でのゲーム音楽関連のお仕事をするようになったきっかけは何でしたか?

桜井:  PRESS START を立ち上げたきっかけは、企画者 5 人が集まって飲み食いしていたところから始まります。

「ゲームの音楽って、いいね。伝えていきたいね」
「そうだね」

そんな軽口でしたが、そこに集まっているメンバーと背景をふまえて、「このチームなら、実現出来る!」と考えました。逆にこのチームに出来ないことであれば、どこにも出来なかったことでしょう。私は音楽については素人ですが、ゲーム音楽については比較的よく覚えている
方です。(特に昔のゲームは)それ故に、特に曲の選別、ピックアップなどを担当しています。
また、『Super Smashbros Brawl(日本でいうスマブラ X)』の開発にも役立っています。

GSW: 「gentle echo meeting」では観客の前でお話をするという事をしてらっしゃいますが、英語圏では桜井さんがE3やGDCにも参加されている事も有名です。GDCのような業界向けのイベントでプレゼンテーションをする事と、「gentle echo meeting」のような場でトークをするという場合では何か大きな違いはありましたか?

桜井:  プレゼンテーション資料があるか、無いかだけで気持ち的に大きな違いがあるわけではありません。聴衆が理解者だと、話をしやすいのは確かです。そういう意味では、GDC も gentle echo meeting も話しやすかった方だと感じて
います。

GSW:  伊藤さんの音楽とはいつどのようにして出会いましたか?また、時を経て伊藤さんの音楽もいろいろな形に進化をしてきているわけですが、会った当時から今までの伊藤さんの音楽に対する印象に変化はありましたか?

桜井:  伊藤さんと言えばやはり『ロマンシング・サガ』の戦闘曲が印象的です。鮮烈にして、美しかったと思います。
が、ご本人とお話を重ね、gentle echo meeting などで演奏された楽曲を聴くなどして、激しい曲よりもむしろムードのある曲の方に興味があるのだろうと思いました。どちらもいい感じです。

GSW: お二人の会話で特に印象に残った事は何ですか?特に伊藤さんの音楽についてなど今までに知らなかった事の新発見などはありましたか?

桜井:  伊藤さんがハル研究所を受けていたとは、思いもよりませんでした。もしもハル研に入っていたら、彼がカービィの曲を作っていた可能性もあります。

GSW: お二人のステージでのトークですが、本番前の打ち合わせなどで詳しくトークの内容など、話し合いはありましたか?また、今回の出演が決まった際に伊藤さんの音楽家としてのキャリアの中で是非詳しく聞きたいという話はありましたか?

桜井:  打ち合わせはほとんどありません。いつもと同じように自然に会話した、という感じに近いと思います。ただ、事前に任天堂から『Super Smashbros Brawl』の楽曲の再生許可が得られたのは、よかったです。

GSW: 「gentle echo meeting」の最後には2009年のPress Start Symphony of Gamesの告知をされていますが、ファン達は詳しい情報などを今後どこから入手できますか?

桜井:  http://fami-web.jp/pressstart
あたりに情報が公開されると思います。
日本語でスミマセン。

GSW: 須賀さん、お忙しい中インタビューに参加していただいてありがとうございます。早速ですが、モンスターハンター5周年記念オーケストラコンサート〜狩猟音楽祭〜などをはじめとして最近のHarmonics Internationalのプロジェクトについてお話しください。

須賀: 弊社ではゲーム音楽のオーケストラ録音などの制作事業に加え、最近ではKORG DS-10でのファン・一般ユーザー参加型の公式イベント開催や、フルオーケストラによるゲーム音楽の再現であるモンスターハンター5 周年記念オーケストラコンサート~狩猟音楽祭~の制作統括などを手がけています。ゲーム音楽をライブ会場で聴くという体験は、ユーザー同士の交流も含め、何物にも変えがたい興奮と感動をもたらしてくれるものと信じています。開発者がユーザーの反応を直に感じれる場所でもありますし、これからもファンの方たちに喜んでいただき、ゲームを作る方々の士気があがるような新たな企画を実現していきたいと思います。

GSW: 「gentle echo meeting」の企画する上で一番の原動力になった目標やイベントに対する思いは何だったでしょうか?

須賀: なんといっても、伊藤さんの自分のコンサートをやってみたいという思いが一番の原動力になったと思います。当初、主催であるホール(内幸町ホール)の希望は、「トークのみの公演」だったのですが、ホールの現在の館長さんが伊藤氏と高校が同級生と言うこともあり、伊藤さんや私たちの希望を聞いてくれた結果、トーク&ライブが実現しました。伊藤さんがホストとして活躍する初のイベントということで、お客さんが楽しい時間を過ごしてくれるということと同時に出演者も楽しくトークや演奏が出来る環境を作れることが目標でした。

GSW: 国際的な視野を常に大切にしている株式会社Harmonics Internationalですが、日本国外でのプロジェクトでの今の目標のようなものはありますか?

須賀: 日本でも海外でも近年ゲーム音楽に興味を持ち、注目する人が増えていますが、まだ日本のファンたちは海外の作曲家のことを、また海外のファンたちは日本の作曲家のことをよく知りません。ゲーム音楽の制作や日本国内外でのイベントを通じて、日本の作曲家、世界の作曲家の素晴らしい才能、また素晴らしい作品をより多くの人に知ってもらえるよう、国内外を問わずその橋渡しをする為に活動していきたいと思います。

GSW: 「gentle echo meeting」 の企画ではどのような場面で苦労がありましたか?

須賀: 伊藤さんをはじめ、出演者の方々やそのほかの関係者のおかげで大きな苦労はなく制作
をすすめることが出来ました。トーク中にスマッシュブラザーズの音源を流したり、ライブ中にサガ2秘宝伝説(仮)の音源を流すアイデアは伊藤氏と桜井氏から出ましたが、任天堂さんやスクウェア・エニックスの許諾、ご協力なしには出来なかったと思います。

GSW: 今回は演奏家として依田彩さん、和乃弦 (Wanogen)さん、大野弘毅さん、滝山清貴さんが出演されました。今回はどのようにして演奏家を集めましたか?また、このイベント以外で彼らと一緒にお仕事をされた事はありましたか

須賀: 今回の演奏メンバーは伊藤さんが集めてくれました。私どもは初めてご一緒する方々ばかりでしたが、伊藤さんの人柄と熱意に十分に応えてくれたと思います。またご一緒するチャンスがあれば嬉しく思います。

GSW: 株式会社Harmonics Internationalとしての視点ではこのゲーム音楽業界で、もっと注目されてもいいはずと思うような分野はありますか?また、Harmonics Internationalではそれにどのように貢献していきたいですか?

須賀: ゲームハードウェアの性能向上により、最近のゲームでは映画と比べても遜色のない音楽を収録できるようになっています。特定の分野に限ったことではないですが、ゲームプレイをきっかけに、音楽そのものに興味をもってくれるユーザーが増えるように努力していきたいと思います。

GSW: 伊藤さん、お忙しい中ご協力ありがとうございます。早速ですが、株式会社 Harmonics Internationalとお仕事をする事になったきっかけは何でしたか?また、今回の「gentle echo meeting」の企画でHarmonics International無しでは実現不可能だったという事はありましたか?

伊藤賢治:  元々彼らとは、スクウェア時代からの付き合いということもあり、彼らが独立したことをきっかけに、何か楽しいことを一緒に出来ればと、友人としても思っていました。また、今回のイベントで使用させていただいたホールが、Harmonics International とは古いお付き合いだったのですがいだったのですが、昨年(2008 年)に僕も伺って、ホールの館長とご挨拶したときに、その館長が僕と高校時代のクラスメートだったということがが判明したという奇跡的な再会もあり、そういった意味では、Harmonics International 無しでは今回のイベントはありえませんでした。

GSW: 音楽とトークショーを一緒に織り交ぜたこのイベントを企画しようと思ったきっかけとして、こういうイベントの魅力は何だとおもいますか?また、桜井さんとは以前から一緒にお仕事をした事はありましたか?

伊藤:  僕が今まで仕事をご一緒したり、ご縁が出来たクリエーターは皆、素晴らしい方々ですが、基本的に表舞台には出ない”裏方”な方々なので、こういった機会で、ファンの皆さんに、ご紹介できればと思ったのが、きっかけです。桜井さんとは、実は”Press Start 2006″で、初めてお会いしました。僕もそのときに出演させていただき、ピアノも弾くことになっていて、本番まであと1時間ほどのところで、「実は現在、あるプロジェクトが進行しているんですが、イトケンさんも参加してもらえませんか?」と突然言われ、焦りまくったのを覚えています(笑)。

GSW: あの有名な「ロマンシング サガ」シリーズのオープニングテーマが今回披露されました。あのテーマが初めてゲーム内に登場した当時から今まで、音楽としてどのように進化してきていると思いますか?また今回の室内楽用アレンジはその流れの中でどのような位置づけにあると思いますか?

伊藤:  当時はスーパーファミコンでの楽曲制作で、同時発音数が8つという制限で、オーケストレーションも苦労しましたが、「いつかフルオーケストラで、この曲が演奏できればいいな」とずっと思っていました。「Minstrel Song」や「Press Start 2006」で実現出来たときには、本当に感動しました。室内楽用アレンジやピアノソロは、バリエーションのひとつで、「こういったサウンドにも変化しますよ」と、リスナーへのプレゼントといった意識があります。

GSW: 「Dance to Blue」はPop’n Music 16 Partyからの音楽ですが、RPG用の音楽を作る時との違いはありますか?

伊藤:  いわゆる「音ゲー」といわれているジャンルは、音楽的には完成されていても、メーカーとしてはユーザーを見据えて、「もっと激しくパッドを叩けるフレーズが欲しい」とリクエストが多くあり、その調整に苦労したことがありました。

GSW: 「gentle echo meeting」では生楽器のアレンジが主体でした。伊藤さんは以前からボーカル入りの音楽も多数手がけてらっしゃいますが、Culdcept SagaやRomancing SaGa: Minstrel Songにあるボーカル入りトラックの制作過程についてお話ください。

伊藤:  「ボーカル入り」の楽曲制作は、はじめからボーカルパートを含んで作曲&アレンジをしていきます。そのなかでも、「熱情の律動」という曲は、僕が思った以上にユーザーやリスナーに受けまして、ボーカル担当の岸川恭子さんの存在感は大きかったです。

GSW: 伊藤さんはEXTRA Hyper Game Event 2007で演奏されました。このような非常に大きなイベントでの演奏と、今回のgentle echo meetingでのトークショーとでは大きな違いは何だと思いますか?

伊藤:  「EXTRA Hyper Game Event 2007」は規模が大きいこともあり、お客の反応もすごいのですが、「gentle echo meeting」はその名の通り、お客達と”meeting”するという意味合も含め、少人数ながらも、演奏の1音も全て届けられるようにしたいと思っています。

GSW: この度はSa・Ga 2: 秘宝伝説のリメイクがスクウェアエニックスのサイトでも紹介されていますが、今回の「gentle echo meeting」にもあったような、過去の懐かしい曲が現代のアレンジによってよみがえるという共通の要素があると思います。以前からの他のリメイクの経験が今回のSa・Ga 2のためのリミックスに直接参考になったという事はありましたか

伊藤:  今回のリメイクは、植松伸夫さんの楽曲も僕がリアレンジするということもあり、実は僕がスクウェア時代に担当した「チョコボレーシング」の頃を思い出していました。この
作品も、全て Final Fantasy からの音楽を僕がリアレンジするというものだったのですが、お陰様で評判も良く、今回も多少ながら、「チョコボレーシング」の経験は生かされていると思。

GSW: 最後になりますが、海外のファンの方々に向けてgentle echo meetingでのトーク内容なども含めて、送りたいメッセージや伊藤さん自身の音楽観についてお話しください。

伊藤: 「gentle echo」というレーベルは、元々僕が昔から「Windham Hill」というレーベルの音楽作品が好きだったということもあり、心静かに落ち着ける音楽や映像などを今後制作・リリース出来ればと思っています。

ゲーム音楽も今後担当していくと思いますが、機会があれば今後の「gentle echo meeting」などで、原曲とは違ったバラード的なアレンジなどで、リスナーが楽しめるように出来たらとたらと思っていますので、ご期待ください。

[Images courtesy of Square Enix and Namco Bandai. Romancing SaGa Minstrel Song illustrations by Tomomi Kobayashi. Photos by YOKO Tanaka.]

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