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「ゲーム」× 「アニメ」: 川井 憲次氏 インタビュー

February 22nd, 2010 Posted in ゲーム

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GameSetWatch インタビュー

川井憲次氏は、世界的に最も有名なアニメ映画の作曲家兼ビデオゲームの作曲家である。彼が作曲を勤めた「イノセンス(INNOCENCE)」はカンヌ国際映画祭のパルム・ドール賞の最終候補映画にまで選ばれた初のアニメ作品として知られている。

この映画は、川井氏が押井守監督とコラボレートしたシリーズ(アニメ映画「スカイ・クロラ」等)の一作品である。この映画を元に作られたWiiゲーム『スカイ・クロラ イノセン・テイセス』がアメリカでXseedから最近リリースされ、その中ではサウンドスタジオMoNacaによる新しい音楽がフィーチャーされている。

川井氏の貢献が貢献した2007年にリリースされたPlaystation3のゲーム「FolksSoul -失われた伝承-」のサウンドトラックでは斎藤博人、細江慎治、佐宗綾子などと有名なミュージシャン達と音楽を提供した。バーチャルリアリティーゲームの世界で物語が展開する映画「アサルトガールズ」は 彼が音楽を手がけた最新映画であり先月東京で公開となった。

ゲーム「The Sky Crawlers:Innocent Aces」のリリースにちなんで行われたこのインタビューの中では、様々なメディアの作曲を手がけてきた川井氏に彼の視点から見た日本のアニメ映画音楽とビデオゲーム音楽の交差点について語っていただいた。

 

翻訳:カオル・バートランド


川井さん、今日はお忙しい中、私どものために時間をさいて頂きまして、本当にありがとうございます。作曲家としての川井さんのお仕事について質問をさせて頂きますのでよろしくお願いたします。ゲーム音楽を作るにあたって、技術的な部分で苦労したことはありますか。また、映画音楽制作とはどういった違いがありますか。

技術的には映画音楽とそう変わりはありません。強いて言えば、ループポイントを作るくらいです。あと、曲数がやたら多い、ということですね。

西洋では、「映画は芸術だが、ビデオゲームはそうではない」などと言う批評家もたまにいるのですが、やはり、映画を通して知名度をあげた人が、いきなり次はゲーム音楽に参加、というパターンは珍しい、という考えもあるか思われます。しかし、『FolksSoul』での川井さんの音楽はそのような観念を疑わせるものがありました。川井さんは、ゲームを芸術的媒体として扱う事についてどうお考えですか。そしてどのような理由でこのプロジェクトに参加するという決断にいたったのですか。

私には芸術かそうでないかの相違点がよくわかりません。ただ、映画でもゲームでも媒体が何であろうと、純粋にお客さんが楽しむもの、と考えています。ですから、私にとってはどの仕事も一緒なのです。『FolksSoul』に参加した理由も、監督からの指名があったため、参加することにしたのです。

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映画監督の押井守氏とは長い間一緒にお仕事をされ、数々の素晴らしい作品を生み出されてきましたが、どのようなきっかけでお二人は初めて一緒にお仕事をされたのでしょうか。

押井監督とは「紅い眼鏡」で初めてお会いしました。なぜ当時無名であった私にこの仕事が来たかというと、私の自宅に簡単な録音システムがあって、要するに安く作れるから、という理由だと思います。「紅い眼鏡」は、とても予算が少ない映画だったのです。しかし、それで私を気に入ってくださり、それ以降の作品をやらせていただいております。

プロダクションI.Gによって制作された映画「スカイ・クロラ」 は作家の森弘嗣氏による 不死身のパイロットファイター達を描いた小説シリーズが元になっている物語ですが、オリジナル作家の森さんは押井守監督が関わっている作品と聞いて始めて 物語の映画化を許可されたと聞きました。この物語の映画化に対しての押井監督のアプローチ、そして「スカイ・クロラ」という物語について川井さんが作曲家 として一番興味深いと思われた事は何でしたか。

押井監督からは、ハープで音楽を作って欲しい、とだけ言われました。しかし、それをどのように使うか、自分でも初めての挑戦でしたので、とても興味 深かったです。とはいえ、実際のフィルムを見るまでは何も思いつかなかったのですが、トレイラーを見た瞬間、空と雲の美しさがとても印象的で、それからイ ンスパイアされてスカイクロラの音楽を作ったのです。

川井さんが押井監督とコラボレートされた最新の映画「アサルトガールズ」は未来的なヴァーチャルリアリティーゲームの世界で物語が展開していきます。ゲームの中で話が進行していくという点で作曲するにあたって何か影響はありましたか。

全てのシーンでセリフが少なく、心象風景のような映像が淡々と続くので、あまり直接的な音楽はつけることができませんでした。特にカタツムリが40 秒もアップで写されているシーンでは、一体どのような音楽にしたらよいのか、大変悩みました。カタツムリの映像が長すぎる、と押井監督に文句を言ったら、 彼はちゃんと演技してるから、と言いました。

ただゆっくり動いているだけなんですけどね・・・。

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MUSEというフュージョンロックバンドを組まれていましたが、フュージョンロックというジャンルをどう思われますか。バンド活動をされてる時点で、将来、音楽で生計を立てていきたいとすでに思われていたのですか。そしてMUSEというバンドを通して何を表現しようとしていましたか。

そもそもMUSEというバンドは、何かを目指して作ったバンドではありません。たまたま行った練習スタジオに、あるコンテストのポスターが貼ってあり、優勝したら車と賞金がもらえる、と書いてありました。その賞金と賞品目当てで、たまたまそこにいたメンバーで急遽バンド組むことにしたのです。しかし、なぜか優勝してしまい、引っ込みがつかなくなってしばらく続けることとなりました。私は今でも、フュージョンは大好きです。MUSEでは、それをもう少しわかりやすくしたものを目指していましたが、結局うまくいかず解散しました。

プロの音楽家としてやっていくということについて、ある程度の戸惑いを持っていた時期があったかとも思われますが、本当に初めて自分が音楽家として定着してきたなと思ったときはいつでしたか。

パトレイバーのビデオシリーズをやったころでした。自分のスタイルが自分で少しずつ理解できるようになってきたからです。

独特で一度聞いたら頭から離れない女性のコーラスが『攻殻機動隊ムGhost in the Shell』と『イノセンス』の冒頭で流れますが、あれはどういったスタイルの曲なのでしょうか。どうして両方の映画でそれを使おうと思ったのですか。

もともと、押井監督からは「プリミティブな太鼓の音楽」を要求されましたが、それにブルガリアンヴォイスのようなコーラスを乗せたらかっこいいんじゃないか、と私がアイデアを出したんです。しかし、実は日本にも独特な声を持つ民謡歌手がいるので、その方々に唄っていただいたら、これがブルガリアンボイスとも違う、実にユニークなサウンドとなったのです。基本的に日本の民謡にはコーラスという考え方がなく、かつあのようなリズムも存在しませんので、私にとって凄く冒険でした。実際、映画が公開されても、誰も音楽について批評しないので私はとても不安になりましたが、きっと誰も聴いたことのないジャンルなので、批評できなかったのだと思います。”Innocence””Ghost in the Shell2”ということで、音楽もほぼ同じスタイルで踏襲いたしました。

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『イノセンス』の中のワンシーンで、おもちゃの家のような屋敷の中で、見る人がまるで夢の中にいるような気分にさせられる場面があります。これは川井さんが音楽を手がけている映画に共通するものの中の一つの例なのですが、そのシーンでは、川井さんの音楽がストーリーとビジュアルと一体になって、見ている側が何か総合された感情的なものを感じることができるんです。映画の中にでてくるオルゴールから流れる音楽はどのようなプロセスと通して作られたのですか。

押井監督からは、「巨大なオルゴールを」とのオーダーがありましたが、そんなオルゴールは世の中に存在しません。そこで、日本で最大のディスク型のオルゴールのディスクを本当に作り、それを録音し、さらにチューブラベル、タイゴング等を加えていったのです。そして、空間の響きを再現するため、電気的なリヴァーブではなく、広大な採石場に行き、録音されたオルゴールをスピーカーから流してその音を録音したのです。本当に大がかりで、寒くて大変でした。

Interview conducted by Jeriaska. Translation by Kaoru Bertrand. Facilitated by Emi Okubo. Images courtesy of KenjiKawai.com.

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