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『Yakuza 3』: 庄司英徳氏 インタビュー

July 28th, 2010 Posted in ゲーム

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GameSetWatch インタビュー

過去の『Yakuza』シリーズで、主人公の桐生 一馬は大阪の犯罪組織のボスと戦ってきた。沖縄の児童養護施設の経営者としてスタートし、ある時は17世紀の京都で伝説の剣豪宮本武蔵に彼自身なれかわなったりもした。そして来春にはこの主人公が英語版のYakuza 4として帰ってくる。

主人公の故意の放浪の中でも、神室町は常に重要な場所として存在してきた場所である。この場所のイメージには、全ての『Yakuza』ゲームの音楽を手がけて来た庄司英徳氏による強烈なロックバラードがすっかりと染み付いている。

庄司氏の東京でのロックスターへの道のりは、バンドで身を立てるという夢を傍らに置いた時から始まった。セガのサウンドチームに入ってからはライブ演奏への情熱をエレクトロニックミュージックへと向けることを学び、現在は定期的にステージに出て、バンド”H.”としてセガのクラシックなゲーム曲を激しい ロックの演奏でかき鳴らしている。

今回のインタビューは日本にあるセガの本部の本社のオフィスで行われ、『Yakuza』シリーズの音楽がどうやって出来たかを説明していただいた。バトルシーンでの迫力あるサウンドはクラシックやジャズが初期のコンソールゲームにおいてそうだったように、ロックをゲーム中で重要な位置にさせようとした結果によるものである。

『Yakuza』の音楽を書くずっと以前に、『F-ZERO GX/AX』のサントラを書かれていますが、このスーパーファミコンのオリジナルのレーシングゲームをプレーされた事はありますか?

庄司英徳氏:  中学生の頃に狂ったようにやってました。(笑)ビッグファンです。音楽も大好きでした。なので、中学のときに遊んでいたゲームを自分が大人になって、その作品作りに携われるっていうのは、もう信じられなかったですね。すごくうれしかったです。

プロジェクトは楽しかったですか?

楽しかったのは楽しかったんですが、やっぱり任天堂さんのビッグタイトルなので、なんと言うんでしょう、質の違う緊張感というか、恐ろしい程のプレッシャーを感じてましたね。

 オリジナルで 一番好きな曲は?

「RESULT THEME OF F-ZERO」という、ミュートシティーとビッグブルーの間や、レースが終わった後にのリザルトが表示されるときに、エレクトロニックピアノで物悲しい静か な曲がかかるのがすごく印象的で、それが子供ながらにもすごく好きでした。F-ZERO GX/AXでもその曲をどこかに入れたいと思っていたので、スタッフロールの曲にアレンジして入れるようにしました。

『Yakuza』は日本において絶大なる人気を得ていますが、シリーズのこの成功には驚かれましたか?

すごくヒットするかすごく失敗するかのどちらかとは思ってはいました。というのも、人にゲームの方向性を説明をするのに「何のゲーム?」って聞かれて「極道のゲーム」と言えばそれである程度は伝わるんですよ。そういった意味で、作品の根底にはポピュラリズムではないけれど、わかりやすさというものはあると思っていたので、自分の中で一定の確信と言うか、うまくいけば売れるのかも?、という事は少し思ってはいました。でもまさか、50万本を突破するというレベルはぜんぜん想像してませんでした。

「Receive And Stab You」という曲は庄司さんの声ですか?

はい、そうです。曲は「Yakuza」のテーマソングではあったんですが、その原曲は割りとロッキンというか、荒々しい曲という事もあって、登場人物 の中にの真島という特殊なキャラがいたので、そのキャラの専用曲にしてしまおうとなりました。ちなみに真島とバトルするときにはそのBGMが鳴るってという約束事でシリーズを通しています。

セルフアレンジする時に思うことは?

原曲で、時間の関係でやりたくてもやれなかったことが多くあるので、そのリベンジということはまず考えますね。

ゲームの音楽は時と場所によってしばしば変わりますが、例えば、一馬が神室町にいる時、大阪にいる時、もしくは江戸時代にい るかによって音楽のスタイルがちがいますが、最近の2つの作品においては、音楽を新たな場面に合わせるように作る等のチャレンジのようなことはありました か?

神室町でのバトルと大阪でのバトルで曲を変えるのは必要な事だと思います。自分だけかも知れないですけど、大阪ってジャズのイメージがあるんですよね。なのでそのジャズのテイストを前面に押し出した曲をバトルにしたかったいうのはありました。やっぱり、同じ日本でも文化が違うところなので、そこを曲 でも表現したかったというのはありました。同じ理由から「Yakuza3」でも沖縄のバトル専用曲を作りました。「Ryu-Kyu Humming」っていう曲なんですけど、チャカチャカいうカスタネットみたいな沖縄の伝統楽器をフィーチャーしてみました。

以前お話されたときに、ゲームをしている時に大抵繰り返し流れている曲にサントラのアルバム用としてはエンディングをつけているとおっしゃられていましたが、最近のサントラにおいて、何か新しい、もしくは面白い曲の終わり方を見つけられましたか?

ボーナスCDにも入っている「Clay Doll On The Cradle」は1ループが3分とかあったりするので、そういうものであればエンディングだけをイメージして作ってしまえばいいので割と楽なんですが、手が掛かるのは短いループのものですね。ショートループの曲はただループさせるだけではなく、普通のポップスでも使われる様な、1番と2番で、2番を少し変えたりと いう常套手段を使ったりします。やっぱり自分が意識するのは聞き手の事ですので、聞き手が飽きないように工夫しようというのが前提にあります。

セガはコンソール及びゲーム機器のゲーム開発社としてとても歴史が深いです。またサウンドチームもS.S.Tバンドをなどライブゲーム ミュージックパフォーマンスの先駆者としてゲーム音楽のなかでも著名な位置にいます。そんな中『Yakuza』シリーズおよび御自身の『Yakuza3』での音楽 はその偉大なセガの歴史の中でどのように適合されると思われますか?

セガサウンドに対するカラーやイメージって、S.S.Tバンドのイメージが根強いのはここ日本でも同様です。偉大な先輩方が作り上げて来たものですから尊敬するものであり財産だと思っていますが、それと同時にその過去のイメージにいつまでもぶら下がっているだけではセガサウンドの未来は無いと、個人的には危機感も持っています。

そう言った背景の中で “Yakuza” シリーズの音楽のみならず、自分が作る曲は過去のセガらしくない作風を目指し「過去からの脱却」を後押しできればいいなと思って作曲に臨んでいます。なのでセガの歴史の中でと考えるのならば、本シリーズの音楽は適合するかというより異端だと思っています。

その異端なものが新たな風を生み出せたら良いなと思って作り続けていますが、今もライブで演奏してお客さんにウケが良かったり演奏を求められるのは未だに「Outrun」や「Fantasy Zone」等に代表されるオールドセガミュージックだったりしますから(笑)道のりはまだまだ遠いということを思い知ります。しかし、こういった先輩方が偉大ゆえのジレンマはむしろ幸せなことだと前向きに考え、今後も挑戦し続けていこうと思っています。

多くの人が桐生一馬にひかれる理由の一つとして彼が抱える多くの 矛盾があると思います。ある時は、親切で優しく(『Yakuza3』の中で彼が沖縄の孤児達を自分の命を捧げて育てているシーンを見ることができます)またあ る時は、血なまぐさい戦いに明け暮れています。庄司様の意見として、どのように一馬は、人々が惹かれるその優しさと凶暴さを具現化していると思われます か?

ギャップというのはすごく解りやすくて、人を惹き付ける要素として大きいですよね。一馬は、日本で言うところの「気は優しくて力持ち」という慣用句の究極形と言えるかもしれません。

また、これはあまり認知されていないと思いますが、一馬は脅しでこそ「死にたいやつだけかかってこい」など死を匂わせるセリフは言うものの、いざ暴力を振るっている最中には「死ね」「殺す」等の殺意がある掛け声はシリーズを通して一言も発していません。これは総合監督である名越の意向でもあり、チーム一同も気を使っている点です。そこには、ただ凶暴なだけではなく暴力に対する責任も込められていると思っています。ゲームの主人公という事だけではなく、一人の「人間としての格」を守り、底上げするスタンスが受け手側には魅力というものに繋がりやすくなっているかとは思います。

視覚的に『Yakuza』は現代の生というものをとても細かく表現していると思います。たとえば、沖縄の陽太陽が燦々と照りつける騒々しい ストリートのシーン等。そしてまた政治的陰謀や、死、性的な物等、大人のテーマを独特に備えています。この視覚的な現実主義や大人のテーマを盛り込んだ内 容等は御自身の音楽制作になにかの形で影響を及ぼしていますか?

視覚的なリアリティは効果音などへの影響は大きかったと思いますが、楽曲への影響の点ではあまり無いです。ですが、大人のテーマというのは今回の “Yakuza3″ ではかなり意識しました。というのも、初代 “Yakuza” の日本でのキャッチコピーが『ゲームに飽いた大人たちへ』という、大人向けのゲームであるという触れ込みだったにも関わらず、バトルシーンの楽曲のほとんどはアッパーでヤンチャな曲が多かったため、音楽の方向性はもう少し大人向けに修正したいという考えは当時からずっと持っていました。

大人のテーマというのは 『Yakuza』『Yakuza2』でも同様ですが、 『Yakuza3』 ではPlayStation2からPlayStation3にプラットフォームが変更になるという非常に大きな変化があったので、このタイミングで楽曲の 方向性を少し大人向けに変えることにしました。具体的にはブルージーなギターの音色を多用したり、Jazzの香りがするエレクトリック・ピアノのフレーズ を随所に散りばめたりして大人感を上げたつもりです。  過去作からのイメージもあるので印象が大きく変わるほどではないですが、変化を楽しんでもらえたらと思います。

『Yakuza3』では多くの悪者と一馬は対峙し、 それぞれのキャラクターは皆独特に描かれています。このようなキャラクターの性格は、例えば格闘シーンでの歪んだギターの音が感情や対立を合図イメージするものとして使われているように、音の使い方の重要な要素になりえますか?

音は符号的に使えるものなので、キャラクターの性格や一馬との関係性などは音の使い方の要素として重要だと考えます。

初代 “Yakuza” では、温厚な性格の花屋はハープの音、熱く渋い伊達はアコースティックギターという風に、キャラクターのシンボルになる様な音を決めて劇伴曲で符号的に使っていました。もちろん複数のキャラクターが同時に登場するシーンなどがありますので全てのシーンに適用したわけではありませんが、キャラクターが初登場するシーンなどでは大体この手法を用いたので、プレイヤーは潜在的にキャラクターの性格・差別化をしたと思います。

『Yakuza3』では原点回帰を意識したこという事もあり、この手法を復活させました。わかり易いところではリチャードソンや真島戦の前や、峯のシーンではオルゴールの音色がシンボルになってたりしますので、音を気にしながらプレイするとまた違った面白さがあるかもしれません。

外国語圏内でリリースされたものでも日本語の声優の演技がそのままとりあげられています。『Yakuza3』の中で庄司様が特にこれは良いと思われた演技はありますか?

13章の病院屋上での一馬と峯の会話シーンで、峯が一馬に対して激昂する時の演技が印象に残っていますね。極道らしい凶暴性は普段から見せるものの、いつも至ってクールな口調の峯が一馬に対して感情的に声を張り上げるこのシーンは、中村獅童氏の渋い声と相まって峯の本心が吐露されていることがすごく伝わる演技だと思いました。全体的に峯は動と静がはっきりしたキャラクターで面白いですね。

あと、これは演技がどうこうということではないのですが、サブストーリー「懲りない二人」のラストは胸にこみ上げるものがありました。この二人は今作まで皆勤賞でして「やっとか…」という想いで胸が一杯になりました。このシーンのサウンドチェックをしている時に名越総合監督と「俺たちの4年間がやっと終わったな」という会話をしたのを覚えています。(笑)そのくらいこの二人には愛着がありました。

「Encounter The Dragoon」はヨーロッパでの先行発売のボーナスCDに入っています。この70年代音楽の影響について、またこのタイトルにした理由、そしてその歌がゲームのストーリーにどのように関わってくるのか教えて頂けますか?

まずヌンチャクという中国武器の修行をするシーンが追加されました。修行という要素は、海外では未発売のタイトル『Ryu-Ga-Gotoku Kenzan!』という作品から専用に音楽を用意する流れになっているので、今回も専用に作曲することになりました。その時にバトルパート担当のプランナーに相談 したところ「ヌンチャクと言えばやっぱりアレでしょう。アジアンな…。ねぇ?」「じゃあその線で作ってみましょうか」という何かしらの含みがあるやりとり があり(笑)シンプルな流れで制作に取り組み始めましたので70年代音楽の影響についてはご推察頂けるかと思います。

また、曲名については字面や言葉の響きのみで付けたので、英語圏の方には申し訳ありませんが英語的な意味はまったく考えておりません。(笑)世界的に有名な名曲「Enter The Dragon」と『偶然』にも曲名『だけ』が『少しだけ』似ているかもしれませんが、関連についてはご想像にお任せします。

ボーナスCDの最初の曲「Fly」 を書くに至ったインスピレーションはなんでしたか?またその曲をどのようにTGSでのライブ用に使うため適応しましたか?

意外かもしれませんが「Fly」のインスピレーションの源は前述の「Encounter The Dragoon」だったりします。超タイトスケジュールであるこの “Yakuza” シリーズでは、タイアップアーティストの楽曲が仕上がる前にプロモーションで露出を始めざるを得ないことが往々にしてあります。その際のトレーラームー ビーやティザームービーなどでは軸になる楽曲が必要になるのですが、この段階でタイアップ楽曲の完成は待っていられませんので、アナザーテーマソングを内 部で書き起こすことが通例になっています。「さて、アナザーテーマソングどうしようか?」という会話を名越総合監督としている様な時期に「Encounter The Dragoon」のラフがある程度まとまってきたのでプレゼンしたんです。そうしたらその時の暑苦しいサビの部分をえらく気に入り「このサビを活かしてア ナザーテーマソングに出来ない?」というアイディアを提案されたんです。最初は「この人は何を言っているんだろう」と思いましたが(笑)作り方としてはす ごく面白く思えたので、アイディアをそのまま貰う事にしました。その後、サビの部分から前後の繋がりを作り、曲を育てていって完成したのが「Fly」という、珍しい経緯をたどったんです。そんな経緯があるため「Fly」と「Encounter The Dragoon」はキーが同じだったり、サビをそっくり入れ替えてもそれぞれの曲が成立しちゃったりします。

そういう個人的にも非常に想い出深い一曲なので、TGSでライブパフォーマンスが出来た事は非常に良い事だったと思います。ギターソロ終わりにすぐ にメロディには入れないので、ライブ用にはバックトラックにメロを入れておいたりといろいろ工夫はしました。が、演奏は完全に失敗しましたけど(笑)  でも自社ブースのステージでアウェーになるという非常に希有な経験もできましたので(笑)やはり想い出深い一曲ですね。今後もし単独でのライブの 機会があったら、今度は準備期間が取れる様にステージプランの話に最初から参加できるフローを、まず作ってから臨みたいと思います。

青木千紘さんとの曲「D 2 A」や福山光晴さんとの曲「Independence for Violence」等、また他にもコラボレーションをされた曲についてお話を聞かせていただけますか?

「D 2 A」は “Yakuza2″ 以降で必ず1曲は作る「おふざけバトル」用の曲で、突き抜けてさえいれば後は割と自由に書けるため、作っていて楽しいカテゴリの曲ですね。目指したのは「(フレンチ・ポップ + サーフロック + ミクスチャー )÷ 1.8」という、こちらもなんともふざけた方程式イメージで書きました。特徴あるメイン女性コーラスは、ボーカル経験が多い青木にお願いしましたが、彼女は低めな歌声が得意なのでCDに収録されている様な可愛い声を出すのは本人的にはかなり抵抗があった様です。(笑)ちなみにライブで演奏する時はヘリウムガスを吸って自分もコーラスで参加する様にしてます。

もう一つのコラボ曲「Independence for Violence」は “Yakuza” での錦山組戦の専用楽曲「Intelligence for Violence」のアレンジバージョンになります。元の曲にもシンボリックに金管楽器が入っていたので、アレンジ曲を作る事にした時には福山の生トランペットをフィーチャーしようと決めていました。ブラス・フォールに3~4音、ダブリングで合計6~8音重ねてもらい、トランペットソロは彼らしさが欲しかったので音色以外は何も指定せずに自由に演奏してもらいました。トランペットソロがそうくるならギターメロはこう攻める!といったような、コラボレーションの良い部分が出た成功例だと思います。福山節も存分に堪能できますしね。

他にはコラボレーションというわけではないのですが「龍神の福音」という曲が印象深いです。これは(株)ノイジークロークの作曲家である加藤浩義氏がエピローグシーンに付けてくれた劇伴曲を、ご本人の了承を得て庄司が耳コピーし、アレンジしてクリア後のタイトル画面曲にしたものです。ゲームをクリアした後、それまでの音的印象を断ち切らずに一連の流れのまま二週目のプレイにスムーズに入ってもらえるようにという意図でこういう事をしたんですが、外の作家さんの曲をコピーする機会ってあまりなかったりするので新鮮でした。ボイシングや各音の抑揚の付け方などはすごく勉強になりました。

ボーナスCDに載っています以下のトラックについてそれぞれなにかコメントはありますでしょうか?

龍神の嘶き

タイトル画面で流れるこの曲は、シリーズを通して「嘶き(いななき)」というテーマで書いているアンビエント曲で、何かの悲鳴の様なエレキギターが龍の嘶きをイメージしています。曲名も初代から順番に並べると『龍』『双龍』というゲーム性と関連した名前にしていまして、今回は色々な意味で一馬が「伝説」になっても遜色ない曲名にしたいと思い、神である『龍神』の名前を冠し、いままでの曲よりもコード感を出してアンビエントというより楽曲然とした印象を持たせるようにしました。

Dead Run

シリーズ初になるチェイスという要素に対して、いかに緊張感を煽るかという点と、シリーズ初であるという真新しさの2点で作りました。これまでほとんど入れてこなかったテクノをベースにして、不協和なピアノやパッドの音色を乗せてスリリングさを演出しました。

Crush & Strike

チンピラやゴロツキと違い、若いギャングと戦う時のBGMということで自分の大好きなエレクトリカル・ロックでガラ悪く作りました。近年、エレクトリカルなロックで流行になりつつある、あの丸みがあるのに芯がある特徴的なドラムの感じを出すのに時間をかなり掛けました。でもこの手の曲は聴くのも作るのも大好きなので、研究も含めて楽しく作れました。是非ライブ・パフォーマンスでやってみたい曲の一つです。

Skirmish

闘技場専用曲って、実は “Yakuza3″ が初めてだったりします。開発がスタートした時は専用楽曲を用意する予定は無かったんですが、開発が進む内に闘技場でのバトル開始前の演出がどんどん充実してきまし て、これはさすがに専用に付けとかないとマズいね…、ということで割と後半の方に作曲しました。

開発途中で新しくソフト・シンセサイザーを導入してから初めて作った曲なため、音の構成的にはかなりそのソフト・シンセサイザーに頼ったものになってます。

Underground Dazzling Star

前哨戦があるなら決勝は別曲で盛り上げないと!…ということは思っていたんですが、なかなか曲のテーマが決まらず、こちらもかなり開発の後半になるまで手を付けませんでした。映像側の演出が固まってきたタイミングでデザイナーからムービーをもらい、そのムービーをインスピレーション源にし、「Skirmish」と対比の意味でテクノっぽさを前面に出す様にして一息で書きました。ゲーム中では「Fight!!」となるタイミングでリズムが走り出す様に工夫してます。

End Point

初代 “Yakuza” をプレイしてくれているユーザーは分かって頂けると思いますが「Turning Point」という曲のアレンジバージョンになります。「あのキャラクター」が登場するという事は割と早い段階で決まっていたのでアレンジバージョンを作る事も早いうちに決めてはいたんですが、元の曲がオルタナティブ・ロックの色がやや強かったため、同じロック系のアレンジだと一連のサブストーリーを締め括る曲としてはちょっとふさわしくないと思い、どういうアレンジにすべきかずっと迷っていました。そんな中、サビ部分のパッドの音色をなんとなくストリングスに変えてみたところ、なかなかに壮大な感じになったきたのでオーケストレーションで進めることを決めました。エレキベースをチェロに、エレキギターのリフも力強いバイオリンに、フレーズをほぼそのまま入れ替えたのですが、結果アジア色が強い珍しい印象のオーケストラ曲になったと思います。元曲とのギャップを出す事にも成功したのでやって良かったです。是非ともゲームの中で聴いて欲しいですね。

Pure Malice

玉城組組員との戦闘用楽曲であるこの曲は専用楽曲ということもあり、他のバトル曲と差別化のために少し工夫をしました。まずエレキギターの音色です が、エレキギターの音をマイクではなくラインで収録する場合はアンプ・シミュレーターというエフェクターの様なものを通して空気感を演出するのが定石なん ですが、この曲のエレキギターはそのアンプ・シミュレーターを通さずに収録しました。敢えてこうすることで空気感を犠牲にする代わりに、ソリッドでエッジ が効いた歯切れの良いディストーションギターの音を得られるので、他の曲のエレキギターの音との差別化をするためにこの手法を使いました。途中から絡んでく るピアノもワザと汚し、古ぼけたlo-fiな音にする事でいつもと違う空気を演出したつもりです。ゲーム中で危険な匂いをこの曲で感じ取ってもらえたら嬉 しいです。

Illtreatment

こちらもシリーズを通して必ず制作する、普段のエンカウントバトルやボス戦と違って長丁場になるロングバトルで汎用的にかかる曲です。いつも曲を書くときはゲーム中のことを考えて作るんですが、この曲は自分達がライブで演奏している映像をイメージしながら作りました。そのせいもあって、ギターのリフやサビのメロディなどは自分好みのシンプルでストレートなものが多く、ライブでギターを弾いてどれだけアドレナリンが出るかということしか考えていませんでした(笑)この曲もいつかステージで演奏する事ができたら良いですね。

More Huge

ボス戦で汎用的にかかるこの曲は「Pure Malice」と近いタイミングで作曲したので、持つ印象としては近いものがあるかもしれません。この曲はいろんなトラックでフィルターを細かく制御しているので地味な苦労は多かったです。また想い出として覚えているのは、作曲中のマシンメンテナンスで、サビで絡むメインメロディの音色の設定を間違って消してしまった事ですかね(笑)。その後、再現を試みたんですが結局消す前そのまんまの音色の再現は出来ませんでした。ですが、これはこれで違った彩りが出たので逆に良かったのかなと自分に暗示をかける様にしています。

FM-Sound’s Storm

この曲はストーリーの前半と後半で2回流れる事が最初から決まっていたため、あまりクライマックスを感じさせる様な曲にもできず、対して軽い曲にする事も出来ないという難しいポジションの曲だったので、デジタル感を強調し無機質な印象を持たせる事で両シーンに違和感が出ない様にしました。そのデジタル感強調のために、曲名の通りにメインリフ、メロディ、パッド等、主要な音のほとんどをFM音源で作ってみました。ただ、使用したのはあくまでFMシミュレートのシンセなので本来のFM音源とはやや違うかもしれませんが、あのザラついた独特の音はやはり自分好みだと再確認できました。

Ogre Has Returned

久しぶりに登場しましたラウ・カーロンとの戦闘専用という事で、安直ですが分かりやすいので打楽器に中華な音を少し使いました。現代劇でアクロバティックな中国拳法というキーワードが、映画「MATRIX」を思い起こさせる構図に思えたので、その辺を若干意識した音の構成と曲調になっているかと思います。映画音楽的なストリングスを途中に絡ませた所などはまさにそう思えるかも知れません。ラウはかなり強いキャラクターなのでヒートアクションを決めるのは難しいかもしれませんが、スローモーションが入る様な大技を決めると音楽と相まって自分のプレイに酔えるかもしれませんよ。

泪なき叙情

この曲の特徴はメインになる音のほとんどがあらゆる種類のギターで押している点かと思います。エレキギターでもディストーションとクランチ、クリアトーン。アコースティックギターもフルアコースティックと12弦と、かなりの数を重ねています。その全てのギターを自分で弾いたので、何度となく指を切りました(笑)また「リフにメロディを兼任させる」というスキームは前々から取り入れてはいますが、この曲はそれがうまく出来た好例だとも思えます。

あと、もう一つの大きな特徴は2パターンの曲が繋がっている点だと思います。ゲームでは戦うフィールドが変わるという大きなギミックがあるので、それに対応するためにフィールド別に2パターンの曲を用意したのですが、サウンドトラックではリスナーがゲームイメージを損なわないようにする意味と、なにより聴き易くするために繋げて一曲にしました。もっとストリングスに凝りたかった気持ちも正直ありますが、どちらもアップテンポながらもストーリーの熱さを煽動する曲にはなれたかなとは思っています。

最後になりますが、Yakuza3の音楽ファンにそれぞれメッセージがありましたらお願い致します。

“Yakuza3″ はシリーズの原点回帰を目指したということもあり、そのサウンドも初代 “Yakuza” のオマージュを盛り込んでいます。ボーナスCDには未収録のスタッフロール時の楽曲などは “Yakuza” の、とあるシーンの劇伴曲を海外版専用に庄司がアレンジした曲になっており、これもオマージュの一つで、そして海外の皆さんだけが聴く事が出来る曲です。初作からプレイしてくれている方は「にやり」とできる様に。初めてプレイする方でもゲームプレイの邪魔にならない様な楽曲コーディネイトを心掛けたつもりですので、是非ともサウンドを意識しながらゲームをプレイして頂きたいと思います。

[This article is available in English on GameSetWatch. The Yakuza 3 original soundtrack album can imported from Amazon.co.jp. Interview and photos by Jeriaska. Translation by Yoko Wyatt.]

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  2. Jul 29, 2010: Game Retail Store » Sound Current: ‘Rock, Roll & Kamurocho - An In-Depth Yakuza 3 Music Interview’

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