『ファイナルファンタジーXIII』: 浜渦正志氏 インタビュー
September 23rd, 2010 Posted in ゲームゲームデザインの過程がそうであるように、ファイナルファンタジーXIIIの音楽スコア制作には長年に渡る念入りな計画が行われ、それを形にする惜しみない努力が費やされた。作曲家の浜渦正志は1996年、スーパーファミコン時代後期にスクウェアへ入社し、フロントミッションシリーズガンハザードの楽曲を共同担当。クラシック音楽のバックグラウンドをもつ彼は、数多くの個性溢れるアレンジアルバムを世に送り出している。「チョコボの不思議なダンジョン」Coi Vanni GialliやVielen Dank、ピアノ・コレクションズファイナルファンタジーXに加え、最近発表されたピアノ・コレクションズ ファイナルファンタジーXIII、そして再発盤として発売されたPiano Pieces “SF2″Rhapsody on a Theme of SaGa Frontier 2などがそのリストに含まれる。また今年スクウェア・エニックスから独立しフリーランスミュージシャンとなった浜渦は、彼自身の事務所である Monomusikを設立した。つかの間のインタビューでは音楽の背景や詳細についてのイントロをかいつまむのが精一杯だが、ファイナルファンタジー XIIIのコンポーザーに13の質問を投げかけてみた。
ファイナルファンタジーXIIIの作品の中で、創作過程の初期に作曲された曲にはどのようなものがございますか?またそれは初期段階でのストーリーラインのコンセプトに基づいて作られたのでしょうか?
浜渦正志氏: 最初に作ったのはメインバトル曲の「閃光」です。ゲームの発売の3年以上も前に作ったものなので、まだシナリオも設定もはっきり把握していなかったのですが、ディレクターの鳥山氏の意向もあってファンタジーと近未来の両方を意識しました。その意向は極めて的確だったと思
います。
ファイナルファンタジーXIIIでは、対照的な音楽スタイルを使用し、コクーンとパルスにおけるロケーションの区別がされています。例えばコクーンは「宿命への抗い」といった映画のようなオーケストラ音楽が特徴であるのに対し、パルスはボサノバ風の「ヤシャス山」のようなより穏やかなテーマが特徴となっています。このようなテクニックを使おうを決めた経過について、またこれがゲームのストーリーラインの狙いを反映していることについて、どうお考えになるかお聞かせください。
プレイ時間が長いゲームなので、様々なサウンドで飽きがこないようにと考えました。しかし一方で方向性がばらばらにならないように、いくらかのテーマモチーフをオブリガードなどで薄く盛り込むようにも心がけました。
デザインチームは、ファイナルファンタジーXIIIを“標準のRPG形式からの意識的な離脱”と表現しています。ストーリーラインは章ごとに分かれ、ゲームの初めの方では自由に探索したり街へ訪れることには余り強調は置かれていません。従来とは異なるゲームデザインになったことで、今までのファイナルファンタジーの音楽とは違ったものを作るよう意識したということはありましたか?
特に過去のシリーズを意識したり差別化をはかったりすることはなく、FFXIIIの世界観に最適なものを作ることを心がけました。また 「新しいFFの世界を」という鳥山氏の意向もありましたし、シリーズの一部の踏襲を必要とされるシチュエーションもなかったと言えます。

「サッズのテーマ」「アフロブルース」「父ちゃん奮闘だぁ!」の3曲は、サッズのキャラクターと直接関連しています。これらの曲はファイナルファンタジーシリーズ独特の音楽スタイルが特徴で、浜渦さんのコラボレーターである田部井亨氏によってアレンジされています。田部井氏はどのような経緯で参加されることになったのですか?
田部井氏は親友で、大学時代に一緒にバンドを組んでいました。3曲ともデモは彼と一緒に作ったのですが、こういった音楽については私より強かったですし、彼の知り合いにいいピアニストやパーカッショニストがいたので、スコアとディレクションは任せることにしました。
浜渦さんは声楽を学ばれていますが、ファイナルファンタジーXIIIのボーカル曲の創作においてその経験が役立ったということはありますか?
自分の声楽がボーカル曲に応用したという実感はほとんどありません。しかし声楽をやっていたことでたくさんの名曲に触れることができましたし、また授業でコーラスをやっていたことは特に和声の面白さを学ぶのに大いに役に立ちました。 そのときの経験がXIIIにもたくさん活きていると思います。
スクエアにおけるキャリアの初期時代、有名なチョコボのテーマである「Chocobo’s Happy Christmas」を浜渦さん独自のオーケストラアレンジでレコーディングする機会を得られました。このことはゲーム音楽のコンポーザーとしての浜渦さんのキャリアにおいて大きな軌跡となったとお考えになりますか?またファイナルファンタジーXIIIにおけるチョコボのテーマの制作に関して、浜渦さんの見識をお聞かせください。
大きな軌跡とはまではいかないですが、初めてのレコーディングでオーケストラを録ったのはそれなりの経験になったと思います。チョコボはずっと変わらないキャラクターなので、XIIIではチョコボのテーマに於いては新たなメロディを考える意味は感じませんでしたし、リアレンジの方が面白いと思いました。
アルバム「Vielen Dank」など、海外におけるレコーディング活動についての個人的な経歴を少しお聞かせいただけますか?またそのことが、ファイナルファンタジーXIIIのレコーディングにおけるワルシャワ国立フィルハーモニー管弦楽団の起用の決断にどのように影響を与えたかについてもお聞かせください。
海外はそれほど経験はしていません。しっかりしたものは「Vielen Dank」が最初だと思います。ワルシャワフィルはそれより以前からいい評判を聞いていましたし、演奏の方向性も好きだったので、XIIIの開発が本格化してきたときに起用してみようと思い立ちました。
ファイナルファンタジーXピアノコレクションズでは、ピアニストの黒田亜樹さんとコラボレーションし、浜渦さん自身、そして植松さん、仲野さんが作曲したゲーム音楽のアレンジを収録されました。このコラボレーションの素晴しかった点、またこの経験がファイナルファンタジーXIIIピアノコレクションズの音楽アレンジにどのようなインパクトを与えたかについて、お聞かせください。
Xは原曲をそのままピアノ化せず、素材を活かした新しいアレンジの曲を何曲か作るように心がけましたが、黒田さんの演奏力のおかげもあって大変うまくまとまったと思います。XIIIでもそれをやってみたかったので彼女にお願いしましたが、さらにミラノでレコーディングしたことで、これまでになかった様々な要素が追加されたと思います。
ピアノコレクションズファイナルファンタジーXIIIでは、オリジナルサウンドトラックのアルバム曲とは違ったものになるように、どのようなアプローチをとられましたか?
やはりそのままピアノにするようなアレンジはなるべくしないようにしていましたが、今回は劇的に変えた曲は比較的少なく、原曲の隠れた面白さを引き出すことが中心になったと思います。
「サラのテーマ」と「サンレス水郷」には英語の歌詞が入っているにもかかわらず、英語圏向けにローカライズするにあたり再度アレンジが施されました。FINAL FANTASY XIII Original Soundtrack PLUSに収録されている、これらの曲の新しいバージョンをレコーディングすることになった根拠はどのようなものだったのですか?
海外版のスタッフから英語のネイティブスピーカーの方によりしっくりくるようにしたいという意向があり、国内版の開発がほぼ終了したときにリテイクしました。
「W/F:Music from FINAL FANTASY XIII」と「W/F:Music from FINAL FANTASY XIII -Gentle Reveries-」という、ファイナルファンタジー音楽をフィーチャーした2つのアナログレコードが日本で発売されています。近年のビデオゲーム業界においてこれはとても珍しいことだと思います。CDと比較した上で、音楽の保管媒体としてのアナログレコードの素晴らしい点は何だと、浜渦さん的にはお考えになりますか?
サウンド面でははっきりしたことは言えませんが、曲をスキップしたりせずに聴くシチュエーションは現在のリスナーには新鮮で、曲を深く聞き込むいい機会であり、とても意義があったと思います。
「スーリヤ湖」はGentle ReveriesとファイナルファンタジーXIIIピアノコレクションズに収録される予定ですが、ボーカリストのミナさんとフランシス・マヤさんとのコラボレーションについて、そしてアイヌの楽器がゲーム音楽にどのように影響を与えたかについて、お聞かせください。
「スーリヤ湖」はFFXIIIで手がけた中でも最もよく出来た作品の一つでした。
Minaの声は以前からよく知っていたこともあって、全体像を描きやすかったのかもしれません。またフランシスの歌唱力は私のほんの少しのアイデアを広げるだけでなく、瞬時に完成させる力を持っていました。こういった劇中のボーカル曲はゲームにおいてとても重要な役割を果たしたと思います。またアイヌの楽器「ムックリ(Mukkur)」はMinaが名手ということで、ちょうど合う曲があったので演じてもらいま
した。
浜渦さん自身の事務所であるMonomusikの今後の予定についてお聞かせください。また、日本と世界各国にいるリスナーの期待に応える作曲活動を今後行う上で、フリーランスのミュージシャンとして独立していることは、浜渦さんにとってよりよいポジションであるとお考えですか?
今後はどのように展開していくかはまだ未定なところが多いですが、自分のやりたかった音楽、活動をより自由にやっていける環境を求めていたので独立はよかったと思います。媒体は変わることがあっても、表現したい音楽は変わりないので、これからも浜渦らしいものを提供できるのではないでしょうか。
Interview questions by Jeriaska and Jérémie Kermarrec. This article is available in English on 1UP.com, in French on FFWorld, and in Italian on Gamesource.it, with translation by Yoko Wyatt.


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