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『ワイルドアームズ』: なるけみちこ氏 インタビュー

September 2nd, 2010 Posted in ゲーム

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1UP.com インタビュー

なるけみちこ女氏による初期のプレーステーション用ゲーム『ワイルド・アームズ』の音楽はその当時としては革新的な物であった。セルジオ・リオーネ監督の西部劇からのサンプルを利用した楽器曲を使い、ゲームのイントロ映画の中で使われているアコースティック・ギターを伴奏につけた口笛は有名だ。この9月、『ワイルド・アームズ』シリーズから、なるけ女氏の音楽が神奈川フィルハーモニー管弦楽団によって東京はプレススタートシンフォニーコンサートにて演奏され, そのライブイベントシリーズの歴史の中で2度目の演奏となった。現在は、まだ企業秘密であるRPGの制作でお忙しいところをお邪魔し、『ワイルド・アームズ』音楽の永続的なその魅力やロールプレイングというジャンルの強みについてご意見を伺った。

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『ワイルド・アームズ』における音楽のコンセプトについて聞かせて頂けますか?

なるけみちこ氏:  ワイルドアームズの音楽のコンセプトはマカロニウエスタンというジャンルです。エンニオ・モリコーネが沢山やったマカロニウエスタンの映画音楽を参考にして作るところから始めました。テーマ曲は口笛なんですが、ゲームの世界観が(マカロニウエスタン)と似ていた事もあり、口笛の曲にしてくれと言う事をゲームデザイナーから言われてあの曲を最初に作りました。

マカロニ・ウエスタンに最初に出会ったのは何時頃でしたか?

初めて見た時は小学生の時だったと思うんですが、あまり印象は無く、大人が見る映画だなという感じでしたね。自分が大人になって、そういえば時代劇の音楽がマカロニウエスタンに似ていると言う事に気がついて、マカロニウエスタン自体は映画をそんなに見ていなかったのですが、時代劇をみていたので音楽自体にはとても親しみがありましたね。日本ではテレビドラマにしても映画にしてもマカロニウエスタンを参考にしている作品がものすごく多いと思います。

なるけ様のゲーム音楽が貢献されました数年前発売の「RIZ-OAWD リゾード」はオズを舞台にしたものです。多くの人々がこの背景には映画からの音楽を思い出すと思います。それは同時に新しく音楽を作る事への弊害になるの ではと思いますが。この歌を書かれたコンセプトはどこにありますか?

ゲームのストーリーがオズの魔法使いを参考にしたストーリーだったんですが、有名な曲、オーバーザレインボーとかをアレンジすると著作権の問題が出て来てしまうのでNGだといわれたので使いませんでしたが、似たような曲を書いても意 味がないと思ったので、原作とゲームのストーリーを自分の中で合わせ, また新たなストーリーを作り出しそれに基づいて音楽を作りました。作曲自体は1人でやったのですが、ボーカルはワイルドアームズの麻生かほ里さんが歌ってくれると決まっていました。今までで一番大きな違いは曲がメジャーのキーだったことですね。

『ワイルド・アームズ』の音楽は短調を多く用いていて、プレーステーション上でとても独特な雰囲気を醸し出していますが、人々を驚かせる要素として音楽の中に悲しさを求めたのでしょうか?

マイナーキーで作って下さいなどの話はスタッフの人達との間ではなかったのですが、マカロニウエスタン調でいこうとなった時にマカロニウエスタンではメジャーな調の曲はほとんどないので、自然とそういう流れになりましたね。

『ワイルド・アームズ』の音楽による感情的な共鳴についてお聞きしたいのですが、なるけさんの音楽はしばしば聞いている人達に独特な感情をもたらすと言われています。ゲーム曲を作る際、シーンや設定に相応しい感情はどんなものか等考えたりされますか?

悲しい物語ばかりだとつらくなってきますが、強く心を動かされる部分と言うのは、悲しい物語の方が印象に残りやすい傾向が私にはあります。

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RPGの曲を作る時、リスナーに対してどんな事を心がけて作られますか?

いつも気をつけているのはなるべく覚えやすいメロディーで作ることですね。メロディーがはっきりしていると言う事だけではなく、覚えやすい形というものがあるんですね。声域が狭い広いとかでもなく、キャッチーなモチーフを  展開したり、音列で韻をふんだり(see you later,alligator  のような)などして、何となく覚えやすい曲。曲が何回も繰り返されるので、曲が不快ではないことですね。耳が痛くなったりとか低音が出過ぎたり等の嫌な特性がないようにする事が大事ですね。演出上で使うときもありますが、それは常識の範囲内でやります。RPGでのバトルシーンで流れている音楽はバトルに負けないものが必要ですが、口で説明するのは難しいですね。作り方がとにかく違いますね。

ゲームのシナリオをよく読んで、物語の中に入り込み、出てくるキャラクター達の気持ちになることが大事ですね。とは言っても舞台は現代では無いしギャップはあるんですが、そこを想像で埋めるんですね。3頭身のキャラクター等でも自分をリアルに置き換えて、前後の関係 を考えて自分のドラマにして一回体験するんですね。

そうすることで初めて主人公達の気持ちになれ、そこで感情が生まれる訳なので。例えば、魔法使いの話であれば、もし自分が使えたらこんな事をしてみたいという想像はいくらでもできるじゃないですか?それで実際に使ったらどうだろうという想像もいくらでもできて、お話をそこから自分で作って行く事はいくらでもできると思うんですよね。あくまでもファンタジーだからというふうにしらけないで、本当に使えたらと、とことん想像してみることが大事ですね。

今までにRPGの作曲家として名立たる人々とお仕事をされて来ていますが、どのような要素が彼らの音楽を成功させていると思いますか?

皆さん素晴らしい作曲家ですね。崎元さんは多才だし、状況説明を一発でされますね。空気をぱっと掴んでぱっと一瞬で見せてくれますね。岩垂さんはオーケストレーションがしっかりしているので、ものすごく安定感がありますね。彼はディズニーの仕事とかもされているので、厳しいサウンドチェックを 受けてやってるぶんも多いでしょうし。光田さんの音楽は一言でいうと本当に綺麗ですね。繊細で綺麗で丁寧ですね。音楽が好きなんだなということがとても伝わってきます。見習うところがあります。

楽器の選択というものはどれほどゲームの中で重要なものなのでしょうか?

楽器の選択で世界観が決まる場合がとても多いですね。使う楽器で背景の説明にもなるので、ギターだったらエレクトリックを使うかアコースティックを使うかで 背景が変わりますよね。『RIZ-ZOAWD』は昔の映画音楽のようなオーケストラの形をちょっとポップにした感じですね。『ワイルドアームズ』は西部劇ですね。モリコーネがやっていた音楽、その向こう側にある映像や風景を想像して作りました。

自分の曲を作る以外にも、ケイブのアレンジアルバムへの参加等をされていますが、『ぐわんげ』では、日本の伝統的な楽器を使うことによってどのようにそのゲームスタイルを作り上げようとされたのですか?

予算の関係でほとんど打ち込みだったのですが、ケイブは 「和」のテイストでというコンセプトで来たのですが、まったく「和」のものをやったことがなかったんですね。ざーっと雅楽や神楽といったものを聞いたので すが、その中でこの楽器、例えば竜笛や琴等を鳴らすだけで「和」になるなというのはわかったんですが、それをポップなアレンジにしようとするととってつけたようなものになってしまいすごく難しく、いたずらに作ったようでいやだったんですね。それでとても悩んだんですが、自分は日本人だし、自分が作れば自然 に「和」になるんではないかと割り切って作りましたが、結局マカロニウエスタンっぽい曲になってしまったんですよね。(笑)

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エレクトーンを幼い頃から演奏されていて、それが自分の作曲家としての良い練習にもなったということでしたが、今日、子供達が音楽家を目指す上で為になる他の楽器、道具等はあるのでしょうか?

私もエレクトーンはやっていましたが、それだけをやっていた訳ではなくて、コーラスもやったり、ブラスバンドもやったり、ピアノを弾いたりいろいろ やってき ました。いろんな手段があっていろいろやっているのはとても良い事だと思います。なにか一つだけというのは絶対に駄目ですね。私はブラスバンドを小学生の 時からずっとやっていて、最近もやっているんですが、正しいリズムを刻むとか、肉体を使っての身体の喜びのような一番原始的なと ころとかもパーカッションを使う良いところですね。一番簡単なアンサンブルが出来ますし、一番基本の楽器ではないかなと思います。

東京は今まで多くのオーケストラによるゲーム音楽のイベントを開催してきました。例えば、なるけ様のワイルドアームズ1&2の音楽が特集されたプレ ス・スタートコンサート等。なるけ様にとってこれらのイベントはゲーム音楽への評価をあげるのに貢献するものだったでしょうか?将来的にご自身も演奏に参 加されたいと思われますか?

ライブ演奏はそのうちやりたいと思っています。何を演奏するかはこれから考えます。(笑) ゲーム音楽はテレビやゲーム機から音が聞こえるだけで、実態がないので、コンサートホールで人が音を鳴らしているところ、ヴァーチャルなものがリアルに再現さ れるのを見る事はすごく貴重だと思います。魂が入っているというか、パワーが違うというか。両方とも良いところはあると思うんです。コンサートだとそこに 行かなければいけないけど、ポータブルであればどこでも聞けるとか。ただ人間が作って人間が届けていると言うのがわかるのは大事な現場だと思いますね。

次のご自身のゲーム音楽においては、どんなゴールを達成しようとお考えですか?

すごく頑張っています。やりたいことは、できるだけミュージシャンをよんでレコーディングすることですね。なかなか予算や時間の問題で全部打ち込みになってしまうことが多くなってしまうんですが、出来るだけレコーディングをしたいと思っています。秘密のプロジェクトというのがRPGなんですが、RPGが無くならないように頑張りたいですね。やはりRPGが好きなので、淘汰されて、古き良きレジェンドにならないようにしたいですね。

This article is available in English on 1UP.com  For more information on the music of Michiko Naruke, visit the artist’s official website.  Photo by Jeriaska.

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