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龍が如くスタジオ インタビュー

July 15th, 2013 Posted in ゲーム

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1UP.com インタビュー

庄司英徳氏はセガの『龍が如く』シリーズやサードパーソンシューティングゲームの『バイナリードメイン』のミュージックディレクターとして活躍。ま たこの未来のアクションゲームのムービーシーン等では福山光晴氏も楽曲制作に携わっている。彼の音楽は『龍が如く OF THE END』でも聞く事ができる。

現在、龍が如くスタジオにおいてプレイステーション3向けの2つの『龍が如く』シリーズのゲームが製作中のところ、この2人のコンポーザーと話す機会を得、セガのゲームに音楽を書くための対策やカバーバンド[H.]でのパフォーマンスについて等のお話を伺った。

Hidenori Shoji and Mitsuharu Fukuyama at SEGA
Hidenori Shoji and Mitsuharu Fukuyama at SEGA Japan

龍が如くスタジオからのゲーム第一弾は『龍が如く』でなく、ドラマティックアクションの『バイナリー ドメイン』でしたが、そのゲームを開発するにあたりそれまでのゲームからの経験とは違う、そのゲーム特有の挑戦としてどのようなものがありましたか。

庄司英徳さん:   舞台設定が2080年という未来の設定に手こずりました。例えば車のエンジン音などは2080年であれば未来 的なサイエンスフィ クションの様な音にするべきだと思うのですが、プレイヤーはあくまで現代の人間なので、車というアイコンをたたせながらも未来感も出す必要がありました。 銃声も同様です。その辺のバランスには 苦労しましたね。

バイナリードメインのBGMコンセプトとして福山の方にはムービーシーン等でオーケストラ系楽曲の方をお願いしていて、安心感がある土台を作っても らった上 で庄司は民謡のような日本古来のものをあえて未来のものにフィーチャーしていくつか曲を作りました。専門の民謡歌手の方を呼んで録音させてもらいました。

『龍が如く1&2 HD EDITION』がプレイステーション3向けにリマスターされリリースされましたが、何かサウンドデザイン的に変更した事等はございましたでしょうかまたシリーズ初期のものに手を加える事についてはどのようなことを思われましたでしょうか。

庄司さん: サウンドデザインは基本的には変えていませんが、当時のデータをそのまま再生しても同じに聞こえない音があるのでそういった所はPS3に最適化してもらいました。

 

例えば街の雑踏ですが、PS2と同じ音量でPS3で再生しても音量が少し小さく聞こえてしまい、繁華街のごちゃごちゃした空気が薄れてしまっていました。こういうハード間での差異が顕著な場面は音量バランスを見直したりしました。これはハードが変わる事によって音を再生させる仕組みも変わるために起こる事で、ハードを超えた移植の場合には付きものの現象です。

他には、PS2でサポートされていた機能がPS3では無くなっているものがあり、その機能を使っていた音はPS3では使えないため耳で聞いて再現したりと、なかなか一筋縄ではいかない今回のプロジェクトではありましたが、シリーズ初期のデータを漁り、手を入れた最初の感想はとにかく懐かしい!の一言でした。

目当てのデータを発掘すれば当時のエピソードも一緒に掘り出され、音を再現すれば当時の苦労も一緒に蘇り、いちいち懐かしんでしまうので作業はあまりはかどりませんでしたね。(笑)ただ同時に、強烈な矜持を持って開発に臨んでいたシリーズの原点・初心も思い起こされたのも事実です。その後のシリーズを続けるために我々が何を置いてきたのか。今回のリマスター・プロジェクトでそれを改めて客観視することが出来た非常に良い機会でした。

横山さんが『龍が如く5 夢、叶えし者』のプロデューサーとして参加されていて、ゲームのシナリオを説明されている映像シリーズもリリースされていますが、以前の私どものインタビューで『龍が如く』シリーズを書く時は庄司さんの音楽を聞きながら書かれるとおっしゃっていました。龍が如くスタジオを作られてからお2人が一緒に仕事をされるときの仕事の進めかたはどのようなものか説明して頂けますか。

横山昌義さん: 『龍が如く5』では、プロデューサーと脚本を担当してます。

本作では、「夢」がテーマであり、各主人公にそれぞれの仕事と生活を与え、その日常の生きざまを描いてます。桐生一馬はタクシードライバー、これまでヒロインだった澤村遥にはアイドル、というように、これまでのシリーズとは全く異なる切り口からのシナリオアプローチをしています。

本作では「裏社会、極道・ヤクザ」といった血なまぐさい世界観に、現代日本を象徴する様々な「職業、文化、風習」を掛け合わせ、新しい「龍が如く」を創造するべく様々なチャレンジをしてきたのですが、楽曲面でも、各主人公の『特徴』にあわせて、様々なテイストの曲作りをしています。

アイドルを象徴するジャパニーズポップ的なものから、ダンスミュージックまで広く取り入れてますが、核となる「男と男の対決」というシーンにおいては、龍が如くおなじみの「庄司サウンド」が必須であり、今作でも、一番の見せ場となるシーンで楽曲の制作をお願いしています。今作では、庄司氏のスケジュール都合から、制作初期段階からの参加が困難だったため、数曲の楽曲提供にとどまってますが、龍が如くシリーズの中核には常に、彼のギター、彼の作り出す音があります。

今回は特にシナリオライティング最中に、庄司氏と世界観をすり合わせることはしてきませんでしたが、そこは長年の「阿吽の呼吸」で、こちらの期待する楽曲を提供してもらえたと思っています。

Masayoshi Yokoyama, Hidenori Shoji, Jun Orihara and Kazuki Hosokawa at Sega headquarters
Masayoshi Yokoyama, Hidenori Shoji, Jun Orihara and Kazuki Hosokawa at Sega headquarters

『龍が如く OF THE END』が『龍が如く見参!』のように、シリーズのキャラクターがいつもとは違うファンタジーの世界におかれます。神室町がゾンビの大量発生によって氾濫する様子をどのような音楽的アプローチによって表現されたのでしょうか。

福山光晴さん: 龍が如くシリーズに関しては今までBGMに関しては庄司がやって来たのですが、今回『龍が如く OF THE END』は自分が担当致しました。世界感というか、ゾンビがでてくるという、 ファンタジーなところがあるというのと、外国ゲーム的なところがあるので、ちょっと変わったアプローチが必要だなとは思っていました。

そこで難しかったのが、ものすごくゲームの世界感とかが今までのシリーズと違っている分、「龍が如く」のイメージからあまり離れすぎないでほしいという

プロデューサー名越の方からの意向がありまして自分としてはその間を取る形で、庄司が作ってきたようなイメージをもちつつ、非現実というか実際にあ り得ない世界を表 現するうえで、変化球的なテイストだったりを時折差し込みつつ作りました。あとは今までの龍が如くシリーズの仕様とちょっと変わっていて、通常の状況の時 から戦闘のような 音楽が流れているのですが、そこからゾンビが出て来て段階的にパニックになるような表現を組み込んでいます。

今までの「龍が如く」を検証しつつもちょっとした試みだったり新しいテイストをいれたりしています。担当者が変わった事で自然にテイストが変わって いる部分も多いかもしれません。ちなみに自身でもイメージソング等でトランペット吹いていたり、同曲では庄司にギターを弾いてもらっています。[H.]のギ ターリストの甲斐も、多数の戦闘シーンでギターを弾いてくれています。

今年でセガのインハウスの作曲家さん達のバンド [H.] が10年目を迎えますが、ライブ用にセガのクラシックな音楽をアレンジしたり演奏することは実際の自分の作曲家としての仕事にどのような影響を与えていると思われますか。

庄司さん: 自分が作った曲だけを弾いてると、決まりきった手のクセや自分の好みのフレーズしか弾かないのですが、別の人の曲を弾く時はいろんなことをやらなければい けないのでギタープレイの幅が広がります。その広がりはそのまま作曲の引き出しの数になると思っています。でも正直な所、好きになれない曲も多少はありま す。(笑)

福山さん: 庄司がいったような内容も勿論ありますし、個人的に言うと、セガのクラシックな曲というのに名曲が多くあって、『アフターバーナー』とか『デイトナ USA』とかは、自分が会社に入ってサウンドコンポーズの仕事をする前に影響をうけたり憧れたりした曲だったりするので、そういうものを実際に自分がアレ ンジすることになったり、共演したりすることが単純に喜びというところがありますね。

ゲームサウンドというのはやはりゲームに紐づいているものなので、ゲームから発せられる音楽と、バンドでそれを生で演奏する音楽と言うのはイコール ではないと思うんですね。どうしても生で演奏できない曲も沢山あるし、自分達が日頃からゲームのために作っている音楽とも違うと思うし。そこで自分達があ えてプレイヤーとして演奏して、ゲーム音楽のファンの方達に自分達が冷汗かきながら演奏しているのを見てもらうのも一つのファンサービスかなと思っています。

庄司さん: 普段ゲームをやらないのに、憧れたり影響を受けたりしてるんだね。(笑)

福山さん: 一応ありますよ。(笑)中学位の時にゲームセンターでよくゲームをやっていたので。いろんな理由があると思うんですが、まず僕が思うのは、80年代の頃、 インストや フュージョン的なサウンドというのが良くゲームでも使われていたと思うんですよ。それが最近はオーケストラだったりテクノだったり、オルタナティブはまだ バンドでも出来そうですが、だんだんそうやってゲーム中で流行っている音楽が変わって来てバンドとして表現することとイコールにはならなくなって来たとい うのは勿論あると思うし、またバンド活動を会社でバックアップするか逆に認めないか、といった「大人の事情」的な事は各社違うと思いますが、うちの会社は 寛大というところがあると思いますね。

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Images courtesy of Sega.  Photos by Jeriaska.  This article is available in English on 1UP.com.

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